コオロギ給食はまずかった(下)今こそ「NO政」と決別を その2
Japan In-depth / 2023年3月24日 18時0分
そのような昆虫食を推奨するサイトもあり、なんでも初心者にお勧めなのはイナゴだそうで、炒めて醤油で味付けしたならば「すばらしくビールに合う」と書かれていた。
これにはかなり心が揺らいだが、ご案内の通り今月の日本はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の話題で持ちきりとなっており、取材に来た米国人ジャーナリストが、たまたま日本の「歌舞伎揚げ」を食して、
「こんなにもビールに合うSENBEIがあったとは!」
などと発信しているのを読んで、あっさり気が変わってしまった。イナゴか歌舞伎揚げかの二択なら、わざわざ虫を食べなくても……
これは意外と真面目な話で、先のアンケート結果ともあわせて考えると、まだまだ昆虫食を受け容れられない日本人が多いのは、やはり見た目の問題が大きいのではないだろうか。
子供の頃、信州で炒った蜂の子を出されたことがあるが、どうしても箸が伸びなかった。愛好家の方々には失礼な言い方かも知れないが、どう見てもヘビー級のウジ虫だったので。
お食事中の読者がもしいたら、重ねてお詫び申し上げるが、しかしながら、言わんとするところはご理解いただけるのではあるまいか。
もちろん、公平に見て、これは偏見である。
なまこや明太子にせよ、フランス人あたりが初めて見たら、食欲をそそられるとは考えにくい見た目だし、そのフランスにも、
「この世で一番豪胆なのは、牡蠣を初めて食べた奴だ」
という格言(?)がある。でんでん虫(=エスカルゴ)を最初に食べた奴はどうなのだろう、などと言いたくなるが、エスカルゴは食べられるのに蜂の子は御免だという私は、もしかして非国民なのか、とも思う。
外国つながりでさらに言えば、美食の国というイメージがあるスペインやイタリアでも、少数ながら昆虫食を好む人たちはいる。バルセロナの有名な市場の一角で、ソースにからめたセミやバッタ(イナゴかな?東京者には見分けがつきにくい)が山積みになっているのを見て、ドン引きした思い出がある。早い話が、言い出したらきりがないのだ。
上下2回の原稿の「下」も後半に入ってから、あらためてタイトルについて説明するのも妙なものだが、読者諸賢はすでにお気づきであろう。徳島県の高校で供された、食用コオロギを用いた給食が「まずかった」というのは、もちろん味覚の話ではない。
昆虫食について、まだまだ日本では理解が得られていないのに、既成事実を作ろうという意図だったのでは、と疑われかねないようなやり方には、賛同しかねるということだ。
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