コオロギ給食はまずかった(下)今こそ「NO政」と決別を その2
Japan In-depth / 2023年3月24日 18時0分
これも前回述べたように、食べるか否かは生徒の自主性に任せた、というのが学校側の説明だが、相手は未成年者だ。そのあたりの判断も含めて、慎重さに欠けたと言われても致し方ない。もちろん、だからと言って学校にクレームの電話が殺到するというのも、いただけないが。
ここでもう一度そもそも論に立ち返るが、食用コオロギは本当に「環境にも優しい次世代フード」なのだろうか。
たしかにFAOの報告書にあるように、狭いスペースで集中的に飼育でき、なおかつ温暖化をもたらすガスもほとんど排出しない。
温暖化がどういう関係があるのか、と思われた向きもあろうが、実は牛のげっぷやおなら(本当に幾度も、お食事中の方、申し訳ありません)は結構濃度の高いメタンガスで、世界規模では莫大な排出量でもあり、いわゆる温室効果ガスであるという話は、1980年代から人口に膾炙していた。
しかし反面、コオロギは寒い場所では生きられないので、年間を通じて安定供給するためには、相応の電力などが必要となるし、野生のように雑食性で共食いまでする、という状況に置くわけには行かないから、飼料にも相応のコストがかかる。
もちろん日本の企業としては、そのあたりのことも織り込み済みなのだろう。
実際、2020年以降、全国で「無印良品」を展開する良品計画、大手冷凍食品メーカーのニチレイ、ポテトチップスで知られるカルビーなどが、相次いで昆虫食事業に参入する意思を表明している。ただしいずれも現時点では、既存の企業と業務提携して、研究資金を出す見返りに、将来の権利関係を求めている、という段階であるようだ。
つまりは、将来性を見込んでいるということで、これは企業としては当然の判断である。
ただ、有望な市場であるということは、利権も生じやすいということで、このあたりが「昆虫食ごり押し」といった、一種の陰謀論が噴出した要素なのではあるまいか。
なにごとにも通じるが、多角的で冷静な議論をこころがけたいものである。
(つづく。その1)
トップ写真:昆虫由来食品のイメージ。すでに世界中で20億人以上の人々が昆虫由来の食品を消費している 出典:Photo by Patrick Aventurier/Getty Images
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