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習主席の訪ロと北京による中東の“仲介”

Japan In-depth / 2023年3月27日 23時0分

習主席の訪ロと北京による中東の“仲介”


澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】


・3月20日、習近平主席がロシアを公式訪問した。


・米国は、中国によるプーチン大統領への「停戦」呼びかけに反対。


・ウクライナは、中国が「ロシア・ウクライナ戦争」の和平促進で重要な役割を担っていると考えている。


 


今年(2023年)3月20日、習近平主席がロシアを公式訪問した(~22日)。そして、翌21日、正式な「習・プーチン会談」が行われている。


 中国共産党は今度の習主席訪ロを「友好、協力、平和の旅」(a)と表現した。つまり、習主席が「平和の使者」だと世界にアピールしている。これは、後述する北京が仲介したイラン・サウジアラビアの関係修復と無関係ではないだろう。今回、中国はロシア・ウクライナ和平の仲介役を望んでいるのかもしれない。


 3月21日、中ロは公式会談後、2つの共同宣言に署名(b)している。内容的に、2月24日、北京が発表した「ロシア・ウクライナ戦争」に関する12項目の「和平提案」(c)に近い。


 一方、米国は、習主席訪ロ直前、中国によるプーチン大統領への「停戦」呼びかけに反対(d)した。ワシントンは、北京の定義する「停戦」が、ロシアのウクライナ侵略を肯定し、ロシアが占領した領土を確定するに等しいと見ている。また、「停戦」後、再びロシアにウクライナへの戦争準備期間を与えると考えている。


 実は、「ロシア・ウクライナ戦争」開戦後、北京は一度もロシアのウクライナ侵攻を非難した事はない(e)。また、北京は、一貫して同戦争には“中立”を表明している。


 他方、米国は中国がロシアに殺傷力の高い兵器を供給するか否かに高い関心を抱く。場合によっては、「第3次世界大戦」となりかねないからである。だが、ドイツのショルツ首相は中国によるロシアへの武器援助の可能性を否定している。


 結局、中ロ首脳が会談した主な理由(f)は、米国に対抗する協力同盟強化と、中ロの権威主義政権にとって有利な新世界秩序の構築であり、ウクライナ情勢の解決は会談の主な目標ではないのかもしれない。


 ただ、ウクライナは、一部の西側諸国の懐疑的な見方にもかかわらず、中国が「ロシア・ウクライナ戦争」和平を促進する上で重要な役割を担っていると考えている(g)。キエフは、中国がロシアに影響力を行使し、和平交渉の再開を働きかけることのできる数少ない国の一つだと見ている。


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