未だに浮揚しない中国経済
Japan In-depth / 2023年3月28日 11時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・中国経済、「ゼロコロナ政策」止めた後も景気回復が遅れている。
・不動産の衰退が国内の製造業の衰退を招いたとの指摘有り。
・地方政府の債務はすでに9兆米ドル(約1176兆円)を超え、さらに増え続けている。
周知の通り、目下、中国経済は厳しい状況に陥っている。昨年2022年12月、北京が「ゼロコロナ政策」をやめても、今年年初来、依然、景気回復が遅れている観がある。
中国チーフエコノミスト・フォーラム理事長(元交通銀行チーフエコノミスト)の連平は、3月の両会(全国人民代表大会・政治協商会議)が終わり、マクロ政策の4つの基本基調―拡大、目標、継続、協調―が比較的明確になってきたと指摘(a)した。連平は、今年も本土では需要不足が顕著な“矛盾”だとみている。
それを裏付けるように、今年3月15日、国家統計局が1月-2月期(毎年、両月をまとめて公表)主要数字を発表したが、どれもあまり芳しくない。
まず、第1に、中国のGDPで最も重要な“投資”(年間では常に投資>消費)だが、「1月-2月期、全国固定資産投資(農家を除く)は5兆3577億元(約101兆7963億円)で、前年同期比5.5%増となった。そのうち、民間固定資産投資は2兆9420億元(約55兆8980億円)で、前年同期比0.8%増である。なお、2月の固定資産投資(農家を除く)は前月比で0.72%増となった」(b)という。
この説明では大事な点が抜け落ちている。それは、“国有持株”が10.5%増という数字(表の中に記載)である。民間投資は前年同期比でたった+0.8%しか伸びていない。あとは、中央政府が投資して、全体で前年同期比+5.5%という数字に膨らましたと考えられよう。
第2に、1月-2月期の社会消費財小売総額は7兆7067億元(約146兆4273億円)で、前年同期比3.5%増(c)となった。決して悪い数字という訳ではないが、いわゆる「リベンジ消費」とは言い難いのではないだろうか。「ゼロコロナ政策」解除後、春節(旧正月)の時期で、移動が自由になったにもかかわらず、この数字では褒められない。
第3に、1月-2月期、全国不動産開発投資は1兆3669億元(約25兆9711億円)、前年同期比5.7%減、そのうち住宅投資は1兆0273億元(約19兆5187円)、同4.6%減(d)となった。
不動産開発投資は、中国経済の要である。在米中国研究家、何清漣によれば、2021年末現在、中国の不動産投資はGDP比13%(OECD諸国は5%)、サプライチェーン投入品を考慮すれば、中国の不動産業はGDP比約30%を占める(e)という。
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