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未だに浮揚しない中国経済

Japan In-depth / 2023年3月28日 11時0分

また、過去20年間、中国における不動産関連産業の発展は、政府、銀行、不動産所有者を“利益共同体”として結び付けている。不動産関連融資は銀行信用の40%近くを占め、不動産関連産業収入は総合的地方財源の約50%を占め、不動産が都市住民資産の60%から70%を占めるという。





他方、何清漣は、不動産の衰退が国内の製造業の衰退を招いたと指摘する。不動産は過去約20年、少なくとも50社以上の川上・川下企業を抱えるリーディング産業であった。これら産業は不動産業の衰退とともに衰え、国内の多くの人々の失業につながったと何は主張する。





さて、将来の中国経済に対し、未だ楽観的な見方がない訳ではない。だが、次の数字を見れば、楽観論に大きな疑問符が付くのではないだろうか。





今年1月-2月期、一般公共予算収入は前年同期比1.2%減の4兆5600億元(約86兆6400億円)、中央政府の収入は同4.5%減の2兆1800億元(約41兆4200億円)、地方政府の収入は同2%増の2兆3900億元(約45兆4100億円)を計上(f)したという。





この間、全国税収入は同3.4%減の3兆9400億元(約74兆8600億円)、税外収入(租税及び公債発行収入金以外の収入)は15.6%増の6230億元(約11兆8370億円)となった。主要税収のうち、消費税は同18.4%減、輸入品に対する付加価値税と消費税は21.6%減と急減した。法人所得税は11.4%増加し、個人所得税は4%減少している。





以上で、評価できるのは、地方政府収入・税外収入・法人所得税ぐらいだろう。ただ、地方政府の債務はすでに9兆米ドル(約1176兆円)を超え、さらに増え続けている(g)。また、多くの地方政府はデフォルトを遅らせるため、銀行に債務のロールオーバー(乗り換え)を依頼したり、貸付金利の引き下げを希望したりしているという。





 





〔注〕





(a)『中国瞭望』「学者が需要不足こそ今年の中国経済の顕著な矛盾だと指摘」(2023年3月17日付)





(https://news.creaders.net/china/2023/03/17/2588255.html)





(b)『国家統計局』「2023年1〜2月の全国固定資産投資(農家を除く)は5.5%増」(2023年3月15日付)





(http://www.stats.gov.cn/sj/zxfb/202303/t20230315_1937194.html)





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