食料安全保障に目覚めよ(上)今こそ「NO政」と決別を その6
Japan In-depth / 2023年3月31日 23時0分
おめでたい、とはこういうことを言うのだろうと、私などは当時から思っていたが、今さら執拗に批判すると、後出しジャンケンではないか、といった誤解を招きかねないので、あえて名前は伏せるが。
ヒンシュクを買ったというのは、どちらかというと「農家の立場はどこにあるのか」という感情論が多かったが、冒頭で述べてように『全国農業新聞』に賞を得ていた私の亡父などは、水田は天然のダムとして環境保全にも寄与しているのだ、という趣旨の文章を書いていた。私などは、それもそれで都会の消費者の理解は得られにくいのでは、と考えたが。
その後バブルは崩壊したが、今度は円高ドル安のおかげで食料品も含め「輸入した方が安い」という考えが浸透し、今に至るも日本人の骨身にからんでいるようにさえ見受けられる。
いかなる観点からも戦争を正当化することはできないが、今次ロシアによるウクライナ侵攻の結果として、食料品・日用品の値上げラッシュに見舞われたことで、日本の食糧自給率の低さという問題に、一人でも多くの人が着目してくれたら、とは思う。
逆のケースについて考えると、話は分かりやすくなる。
アルゼンチンの経済破綻など、もはや完全なる「旧聞」と化した感があるが、餓死の危機を感じている人などまずいない。むしろ国を挙げて、ワールドカップの優勝で盛り上がっていた。やはり世界屈指の農業国だけに、食料が不足するという事態をリアルに受け止められないのだろう。
ギリシャも然り。2009年に世界を震撼させた、世に言うギリシャ危機に際しても、国民の多くは意外に悠然と構えていた。
もともと地中海性気候の国土は野菜や加地を豊富に産し、海産物も豊富。北部には国葬もある。これが古代文明の発展を支えてきたのである。
現在のギリシャも、日本では「観光以外にまともな産業などない」というイメージで見られるきらいがあるが、食糧自給率は140パーセント以上。小麦からワインまで、ヨーロッパ屈指の輸出国でもあるのだ。
この問題では、ギリシャ人の知人が日本のメディアから取材を受けたのだが、
「誰も暗くなってない。お酒とダンスを楽しんでる」
という発言だけが切り取られて報じられたと憤慨していた。いかにも日本のマスメディアらしいと言うか、そういう国民性なのだ、ということで片付けられてしまったのだろう。
さて、前回は牛乳、前々回は牛肉の問題を取り上げたので、今回はひとまず米の問題を中心に話を進めたい。
この記事に関連するニュース
-
ラオス、地方・慣習的国境における一部の農産物輸入を禁止(ラオス)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月1日 11時40分
-
資産運用しない高齢者を待ち受ける悲惨な未来 穏やかで豊かな老後生活を送ることはできるか
東洋経済オンライン / 2024年6月29日 9時30分
-
焦点:米中西部の農業地帯、農家の収入急減で地域のビジネスも苦境
ロイター / 2024年6月24日 9時0分
-
UAE国家政策の一翼を担うアグリテック|Silal、農家と協力し戦略的に食料備蓄へ
Techable / 2024年6月21日 8時0分
-
1年間汁ばかりをすすり33歳で死亡…朝ドラで花岡のモデルになった山口良忠判事の壮絶な栄養失調死
プレジデントオンライン / 2024年6月8日 8時30分
ランキング
-
1茂木敏充氏が自民総裁選に意欲も…《河野もあり得ないが、茂木もあり合えない。そろって勘違い》と悪評ふんぷん
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月1日 9時26分
-
2脳裏に焼きつく救助の光景 「忘れない」消防士の誓い 能登地震半年
毎日新聞 / 2024年7月1日 17時51分
-
3会わせないように…母・田村浩子被告が出した“苦渋のアイディア”明らかに すすきの殺人裁判
STVニュース北海道 / 2024年7月1日 16時14分
-
4富士山の山梨側「吉田ルート」で山開き 新たな入山規制始まる
毎日新聞 / 2024年7月1日 10時21分
-
5セクハラ辞職の前町長、100万円収賄容疑で再逮捕…岐阜県池田町
読売新聞 / 2024年7月1日 14時39分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)