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食料安全保障に目覚めよ(上)今こそ「NO政」と決別を その6

Japan In-depth / 2023年3月31日 23時0分

日本人、とりわけ都会で暮らす人々には、あまり知られていない事実だが、米という農作物は大別して二種類ある。





ひとつは短粒種すなわち丸っこいジャポニカ種で、いまひとつは細長いインディカ種だ。





日本人が一般に「お米」と認識しているのは、言うまでもなくジャポニカ種だが、これは日本列島と朝鮮半島、中国の黄河流域以北で作られている。言い換えれば米食文化の中にあっては少数派であり、しかもこれらの地域は消費人口が多いため、輸出余力はほぼない。





あとは前述のように米国西海岸でも栽培されているが、小麦やトウモロコシの生産量と比較したなら、微々たるものでしかない。





一方、細長いインディカ種は広く栽培されているのだが、日本人の口に合うとは言いがたい。「外米」という言葉も今では死語になっているが、1990年代初頭に、冷害で深刻な米不足に見舞われた際には、タイから緊急輸入された。





つまりバブルの頃に騒がれていた「米の市場開放問題」というのは、日米間の貿易問題に過ぎなかった。





もうひとつ、この問題からも明らかなことだが、食料は今や石油と並ぶ戦略物資になっている。





1995年に『ポスト団塊世代の日本再建計画』(清谷信一氏と共著・中央公論社)という本を出していただいたのだが、その中でもこの問題に着目し、





「兵器を買ってコメを守れ」





という表題にて、一章を割いたほどである。





自動車をはじめとする日本からの「輸出の洪水」が米国政財界の怒りを買い、その結果が、米の市場開放を求める外交圧力であるとの文脈で、





「ただでさえ石油で(=石油メジャーに)首根っこを押さえられているのに、この上食料で下の急所を握られてよいのか」





という主旨の議論を展開した。





いささか品性に欠ける表現であるとの批判は甘受するが、穀物メジャーの尻馬に乗って「近郊農業の安楽死」を主張した手合いに比べれば、私の方が遙かに愛国者であると思う。





ならば日本の米作はどうすれば健全な物となり得るのか。その考察は、次回。





(つづく。その1、その2、その3、その4、その5)





トップ写真:イメージ 出典:okugawa/GettyImages




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