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住民説明会と“個人海外視察”「虫の目」と「鳥の目」 「高岡発ニッポン再興」その64

Japan In-depth / 2023年4月1日 11時27分

住民説明会と“個人海外視察”「虫の目」と「鳥の目」 「高岡発ニッポン再興」その64


出町譲(高岡市議会議員・作家)











【まとめ】





・前富山市長森雅志氏は、海外での個人視察の学びを生かしたまちづくりを行った。





・明石の泉市長は、養育費の立て替え政策や「世界最先端の政策ということは、時代の切実なニーズ。やって当然の政策ばかり」と指摘。





・住民の声を聞き、大きな視野から政策を実施することが大切である。









富山市と言えば、コンパクトシティーとして知られています。人口減少社会において、コンパクトなまちづくりは国際的にも評価され、平成24年にはOECD(経済開発機構)が取りまとめた報告書では、世界の先進5都市にも選ばれています。また、最近でもイギリスの有力雑誌「エコノミスト」は、富山市に注目し、30年先を見据えた都市計画を報じています。下がり続けていた市街地中心部の地価は上昇しています。





そのコンパクトシティーの立役者と言えば、森雅志前市長です。2002年から2021年まで市長を務めました。先日、森さんをお招きして、富山県議会議員選挙に出馬する元高岡市議の嶋川武秀さんと一緒に、シンポジウムを開きました。事前の打ち合わせなども含めてお話を聞き、2つの点を学びました。住民説明会と海外視察の重要性です。





森さんは、公共交通を軸に、コンパクトシティーを推し進めましたが、これまでとは違ったまちづくりになるため、住民に納得してもらう必要があります。年間120回の住民説明会を開催。時には2時間の説明会を一日で4回開くこともあたったそうです。





説明責任にとどまらず、説得責任を果たす必要があるとした上で、「どれだけ話しても、どうしても賛成してくれない人はいますが、理論立てて、とことん話をします。そうすると、その方も疲れてくるのです。これまで組織だった反対運動は起きなかった」と森さんは話しました。





さらに、海外にも頻繁に出かけました。市長としての視察ではなく、いわば個人視察です。「費用は後援会に出してもらった視察です。一日だけ公務を休み、1泊4日の強行軍だった」。それが政策につながったと言います。





例えば、ポルトガルに行った際、ロープ―ウェイを降りると、ワインが出た。それにアイデアを得て、運河クルーズで、岩瀬に訪れた人には、試飲用の特製木桝(220円)購入の際に「本日のおすすめ銘柄一杯」のサービスを受けられるようにお願いしたといいます。





また、森前市長の元側近によれば、富山市が中心街を流れる松川に遊覧船を航行したのも、アメリカのテキサス州のサンアントニオを視察したのがきっかけでした。サンアントニオは年間1400万人の観光客が訪れ、世界で最も成功した水辺観光都市です。街の中心部を流れる、サンアントニオ川の両岸にリバーウォークが整備されているのです。森さんは、松川・城址公園を軸に、富山市を水辺観光都市にしようとしたのです。





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