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相変わらず低迷する中国経済の実態

Japan In-depth / 2023年4月10日 23時0分

相変わらず低迷する中国経済の実態




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・中国では「ゼロコロナ政策」による不況で失業の波が押し寄せている。





・中国の「就業者」全体の39.2%が「農民工」。雇い止めにより失業者が急増。





・301万の中小民間企業が廃業。2021年時点で中国の債務者数は7億8000万人。





 





周知の如く、目下、中国は不況で失業の波が押し寄せている(a)。習近平政権による約3年間の「ゼロコロナ政策」が中国経済に大きな打撃を与えた。多くの企業が廃業に追い込まれたため、北京市、上海市、深圳市などの1線都市では失業者が急増し、路上で暮らすホームレスの数も急増している。





中国の2、3線都市は更に深刻で、昨2022年12月、ロックダウンが全面的に解除されて以降、今では低賃金の仕事だけしかないという。また、多くの商店街は白昼、ゴーストタウンと化した。





例年、毎日のように「農民工」(出稼ぎ労働者)を募集していた大工場が一斉に雇い止めしたので、彼らになかなか仕事が見つからず、駅、道端、橋の下などに寝る場所を求めている。その中には大卒も少なくないという。 





海外評論家の梁京は、外資の撤退が加速し、失業の波は中国経済に対する長期的な期待を打ち砕いたと述べている。また、習新体制の経済運営に関する知識、及び危機対応能力が著しく欠如していたとも指摘している。





他方、長年にわたり「農民工」に依存してきた社会構造は、多くの寄生的パワーエリートを養ってきた。彼らエリートは莫大な私有財産を所有するだけでなく、社会保障費の大部分を占有する体制に胡坐をかいている。





高級官僚や党幹部、専門家の年金は月に数万元にもなり、農村の低所得者数の十倍にもなる。月1万元(約19万円)以上の年金をもらえる人は数百万人にも上るという。





さて、2021年、全国の「就業者」総数は7億4650万人(b)である。そのうち、「農民工」数は2億9251万人で、前年比691万人(+2.4%)増加(c)している。すると、「就業者」全体で「農民工」の占める割合は39.2%となるだろう。





一般に、15歳以上の「労働力人口」は「就業者」と「完全失業者」に分類(d)できる。また、「就業者」とは「従業者」と「休業者」の合計である(なお、「従業者」とは「主に仕事、通学や家事などのかたわらに仕事」をする人のことを指す)。





中華全国総工会が発表した雇用市場調査(e)によれば、現在、中国の「労働者」総数は約4億0200万人で、そのうち新規雇用労働者は8400万人である(おそらく、「労働者」と「農民工」の合計、およそ6億9450万人が真の「就業者」総数、ないしは、それに近いのではないだろうか)。





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