仏、年金改革施行へ デモ過激化
Japan In-depth / 2023年4月16日 13時33分
Ulala(著述家)
「フランスUlalaの視点」
【まとめ】
・仏の年金受給年齢が引き上げられた。
・デモは継続的に行われると予測される。
・「絶対に諦めないでやり通す」マクロン氏のモットーが波紋広げる。
フランスでは15日、とうとう年金の受給開始年齢を62歳から64歳に引き上げを含む年金改革法案が公布された。
14日に行われた憲法会議では、エマニュエル・マクロン大統領が推進してきた年金改革法について合憲と判断され、その夜のうちにマクロン大統領が署名し15日付けの官報で発表された。官報に掲載されついうことは「公布」を意味し法的な効力が発生するということでもある。これにより9月はじめには新しい制度が実施される見通しだ。
年金改革にまい進したエリザベット・ボルヌ首相は14日の夜に、合憲と判断されたことを受け「この夜、勝者はいないし敗者もいない」とツイート。また、17日の20時からマクロン大統領による国民に向けての演説が放送される予定となっており、18日の火曜日には労働組合との話し合いの席がもうけられる。
◾️ 年金制度改革に対する反対デモ
この年金改革の法案が憲法会議の前日13日、および、14日に合憲とされたあとにはデモ活動が行われていた。そのデモ活動は近年過激化しており、13日には「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」本社も襲撃された。LVMHの2023年度1期目の売上高は前年同期比17%増で、210億3500万ユーロ(約3兆789億円)を記録しており、株価も史上最高値になっていたところだ。デモ隊は、年金制度の財源は労働者から絞り取るのではなく、多くの収益を得ているLVMHから引き出すべきだと主張している。この襲撃にとどまらず、そのほかにもパリでは大きな衝突が複数の場所で起こっておりデモ時には毎回混乱した状態となる。
また、14日には、フランス西部レンヌで警察署が放火された。その後すぐに消防隊により火は鎮火されたが、特にレンヌでは人数自体は少ないものの、ブラックブロックと見られるグループがデモの度に破壊活動することが多くなった。住民はより高級そうな車ほど破壊される可能性が高くなるため、グループがいる場所から車を退避するなど警戒を余儀なくされている。
しかしながら、全体のデモ自体への参加者は急激に減少している。13日には、労働組合のCGTの発表によれば150万人以上、内務省によれは38万人の参加者となった。4月6日のデモ参加者は、CGTの発表では200万人、内務省の発表では57万人だったことを考えれば、いかに減少したかがよくわかる。
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