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意外と知らない「NYの桜」秘話

Japan In-depth / 2023年4月20日 23時0分

▲写真 ポトマック河畔タイダル ベイスン周辺の満開の桜(2023年3月21日 米国・ワシントンDC )出典:Photo by Paul Morigi/Getty Images





では、同時に移送された、残りの3,020本の桜の苗木はどうなったのであろうか?





私が調べた範囲では、同時にニューヨークに移送された事になっているが、確認した複数の公式記録で説明が異なり、正確なところは分からなかった。ワシントンで植樹式が行われた翌月の4月29日に、ハドソン川横のクレアモントパークという公園で「植樹歓迎式」があった、という記録はあるので、とにかくニューヨークに到着したのは間違いないと思われる。





3,020の苗木が植樹された先は、クレアモント公園、ハドソン河畔、一部がセントラルパークへ、という事になっているがはっきりしない。現在のニューヨークには、ワシントンのような巨大で見事な桜並木などが見当たらないのである。





しかしながら、ニューヨーク公園管理局のウェブサイトによれば、日本原産とされる桜は、現在、有名になりつつあるセントラルパークの桜なども含め、ニューヨーク市内に38,000本以上植えられているという。数の多さから言って、これらの桜のかなりの部分は、120年前に海を渡った桜の子孫であると想像される。









▲写真 ニューヨーク市内に街路樹として植えられている、日本の桜の場所を示すNY公園管理局のウェブサイトの地図 出典:NY公園管理局のウェブサイト





長い時を経て、高峰博士らの悲願は、文字通り大きく花開いたといえるのではないか。





1912年にクレアモント公園に植樹された桜は、公園を象徴する存在となり、この公園はこの年「サクラ・パーク」と名前が変更された。





しかし、公園自体の存在や、「SAKURA」が桜を意味することや、ここに桜が植えられていることはニューヨーカーの間でもあまり知られてはいない。実のところ、私も訪れたことがなかった。





この記事を書くにあたって、ハドソン川横のこの公園を初めて訪れてみてわかったが、ワシントンの桜並木と同様に、この公園も、日米親善の象徴となっていたのである。













▲写真 「Sakura Park」北側にある、東京都から贈られた石灯籠(筆者撮影)





公園の北側に、ひときわ目立つ、石灯籠が建っている。





これは、1960年(昭和35年)、明仁上皇が皇太子だった時代に、美智子妃殿下と日米修好100周年に際してアメリカ各地を訪問(ホノルル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ワシントン、ニューヨーク、シカゴ、シアトル、ポートランド)し、ニューヨーク訪問時にこの公園を訪れた時に、日本から移送され、ニューヨーク市に寄贈された石灯籠である。





灯籠の裏側にはこう刻まれている。





「(この灯籠は)1960年2月29日に始まった東京・ニューヨーク姉妹都市提携を記念して、東京都民からニューヨーク市民へ贈られたものです。」





尾崎行雄東京市長から、ワシントン・ニューヨークに桜が贈られて120年。





見事に桜が咲き誇るこの公園は、その昔あった物語を語ってくれる。





おだやかな日差しの下、和む人々を見て、この公園はニューヨークの地元民の安らぎの場所としてすっかり定着していると確信した。





公園のすぐ西のハドソン川から吹いてくる春の風が心地よかった。





(サクラ・パークの模様は、動画をごらんください)





トップ写真:ニューヨーク「Sakura Park」。休日には多くの人が訪れる。(筆者撮影)




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