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本当に「AIが仕事を奪う」のか(下)ポスト・コロナの「働き方」について その4

Japan In-depth / 2023年4月22日 18時0分

 このことを踏まえ、大手警備会社のセコムなどは、多数の監視カメラや防犯センサーを集中管理し、常時警備員を配置していなくとも非常事態には対応できる、という態勢を売り物にしている。


 警察との連携については、都道府県ごとの警察によって異なるようで、機器の誤作動や操作ミスでないことを確認した上で通報して欲しい、というケースが多いようだが、神奈川県警などは、発報した場合にはすぐに通報するよう要請していると聞く。


 今後10~20年というスパンで見るのであれば、緊急時の避難誘導から自衛消防までこなせるロボットを、比較的安価に導入できるようになる、という可能性も否定できないので、早計には言われないことだが、たとえ現在の機械警備からさらに進んだ「AI警備」が現実になったとしても、それは警備員が不要になったのではなく、人手不足の解決策が見つかったのだと、前向きに捉えた方がよいのではないだろうか。


 ドライバーの場合は、より迅速な対応が求められる。なんと言っても2024年問題があるからだ。


 すでに残り1年を切ったということになるが、来年4月1日より、いわゆる「働き方改革関連法案」に基づき、主として時間外労働に上限規制が設けられる。


 まず現状を見ると、物流を支えるトラック・ドライバーの所定内勤務時間は、大型・中小型ともに176時間を超え、全産業平均の165時間よりだいぶ多い。


 時間外労働を見たならば、大型の場合平均35時間、中小型で31時間となっており、全産業平均が10時間だから、実に3倍以上である(いずれも厚生労働省調べ)。


 このように長時間労働が常態化している仕事だけに、求人をかけても人が集まりにくい。業界団体などによれば、全事業者の7割がドライバー不足に悩まされているという。


 しかしその一方では、残業(=時間外労働)が多いことから、「体はきついけど稼ぎは悪くない」と考える人も多かった。昨今では、若い女性も増えており「トラガール」などと呼ばれていると聞く。阪神タイガースを応援する女性ではなく「トラック野郎」の女性版らしい。


 ここで問題になるのは、読者ご賢察の通り、時間外労働が規制の対象となるということは、まず間違いなくドライバーの収入減に直結し、人手不足に拍車がかかると見られることだ。


 実際問題として、業界団体などの試算によれば、有効な解決手段が講じられない場合は、「最悪、宅配便の36%について、指定時間の配達ができなくなる」可能性さえあるという。


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