第1四半期の中国経済指標と「国退民進」
Japan In-depth / 2023年4月24日 23時0分
今回、民間の投資がわずか0.6%増である。一方、同期は国有持株による政府主導の投資が10.0%だった。仮に後者が無ければ、中国経済はもっと悪いはずである。
実は、2021年の第1四半期は(2020年は数字が悪いので、2019年同期比)+25.6%で、民間投資が26.0%増、政府投資が25.3%増(f)だった。また、2022年の第1四半期は、前年同期比で+9.3%、民間投資は8.4%増、政府投資は11.7%増(g)である。
一昨年と昨年には、まだ民間投資には勢いがあった。だが今年、民間企業の投資意欲が失われた観がある(「国進民退」現象か)。
ところで、1990年から近年まで中国の雇用問題で最も顕著な特徴は「国退民進」だった。国有単位(公務員・公企業・事業所の職員を含む)の就業者数は1990年の70.2%から2019年の12.6%に激減(h)している。
民間企業への就職シェアは1990年の0.4%から2019年には33.5%に激増し、自営業者への就職シェアも4.2%から26.9%に上昇した。2019年には両者を合わせて60.4%を占め、中国における就職の主流となっている。総雇用増加数に対する自営業者の新規雇用の比率は、2018年は82.1%と高く、2019年も同様に70.7%と高かった。このような数字は、雇用の7~8割を自営業者に依存していると言えよう。
他方、かつて人気のあった外資系企業への就職が、2013年に9.1%のシェアをピークに、その後、減少を続け、2019年には5.4%まで落ち込んでいる(絶対数では、2013年の2963万人から2019年には2360万人へと、603万人<20.4%>も減少)。外資系企業の雇用減少幅は大きく、2013年以降、およそ5分の1の外資系企業が中国から撤退したことになる(外資の「脱出潮」)。
例えば、中国を代表する外国投資家であるオランダの投資グループ、プロサスと日本のソフトバンクグループは、最近、共に中国からの撤退を加速(i)させた。
〔注〕
(a)『国家統計局』「2023年第1四半期GDP速報値」(2023年4年19日付)
(http://www.stats.gov.cn/sj/zxfb/202304/t20230419_1938791.html)
(b)『国家統計局』「2023年1-3分全国固定資産投資は5.1%増」(2023年4年18日付)
(http://www.stats.gov.cn/sj/zxfb/202304/t20230418_1938708.html)
この記事に関連するニュース
-
第3四半期のGDP成長率は前年同期比1.8%、前期から伸び率鈍化(香港)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月12日 0時10分
-
遼寧省、1~9月の成長率は4.9%、全国平均を上回る(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月1日 0時10分
-
中国中部地域4省、2024年1~9月の経済指標を発表(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月1日 0時0分
-
米GDP、第3四半期速報値2.8%増 個人消費が堅調
ロイター / 2024年10月31日 5時16分
-
このままでは深刻な「EV貿易戦争」が勃発する…「激安の中華製品」を海外にバラマキ続ける習近平主席の大暴走
プレジデントオンライン / 2024年10月28日 9時15分
ランキング
-
1「死んでいるアヒルが増えている」 埼玉・行田市の農場で高病原性鳥インフルエンザ疑い 埼玉県内では今年初
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月24日 22時8分
-
2名古屋市長選挙、広沢一郎氏が初当選…河村たかし前市長から後継指名
読売新聞 / 2024年11月24日 21時49分
-
3金山労働者の追悼式、初開催=韓国側は不参加―新潟・佐渡
時事通信 / 2024年11月24日 16時25分
-
4「自爆営業」はパワハラ、厚生労働省が防止法指針に明記へ…企業へ対策促す
読売新聞 / 2024年11月24日 21時13分
-
5三笠宮妃百合子さまの通夜営まれる 秋篠宮ご夫妻ら参列
毎日新聞 / 2024年11月24日 19時32分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください