自民・維新タッグ候補敗れたわけ「世田谷区長選」
Japan In-depth / 2023年4月24日 18時0分
自民党区議団の実績は目にしたことがない。ホームページを覗くと、立派な政策が並ぶが、新型コロナ対策でも、防災・防犯対策でも、マイナンバー制度普及でも、どんな実績があったのかわからない。保坂区政の実績もわからないが、保坂区政を否定し区長の座を奪い取りに行くには、余りに発信力に乏しすぎるのではないか。新聞の折込なども滅多に見ないし、彼らの駅頭演説などついぞ出くわしたことがない。議員個々人のSNS発信はいうまでもない。これでは、12年続いている保坂区政をチェンジしようという気運が区民に拡がらないのは当然だ。
有権者の声の一つに「庁舎建て替えは自民も賛成したはずなのに、反対する候補を担ぐのはおかしい」というものもあった。もっともな意見だろう。区民としては、いきなり400億円をゼロにする、といわれても正直ピンとこなかったのではないか。
つまり、今回を含め、世田谷区長選で自民党候補が勝てない理由の最たるものが、自民党がこれまで本気で区長の椅子を取りに行こうとしていなかった、そして、本気で「勝てる候補」を育ててこなかったという戦略ミスだろう。
そういう意味で負け戦は確定していたともいえるのだが、今回の内藤ゆうや氏は出色だった。なにしろ、政策が具体的だった。世田谷区が抱える問題点を可視化してくれた。区内で犯罪が増え続けていること、区庁舎建て替えに400億円の区税が使われようとしていること、給食無償化が単年度だけであること、などを次々と指摘、その代替策を訴えたのだ。
本来自民党の世田谷区議らがこれまでに指摘し、対案を出しておくべき問題だったろう。全くの無名で政治経験もない内藤氏が15万票近く取ったことは大いに評価されてしかるべきだ。
一方で、区民に話を聞くと、高齢者の中に、内藤氏に期待する声が聴かれる一方で、年が若いことを懸念する声も聞かれた。海外で30代の大統領や首相が生まれていることを考えれば、29歳という年齢は全く問題ないと思うが、高齢化社会の日本では、若い世代へのチェンジに抵抗感を持つ人が少なからずいることを認めざるを得ない。
だからこと、4年後の区長選に向け、本気で勝ちに行くのなら、これまで同様の活動や情報発信ではだめだろう。
内藤氏の敗因の2番目は、やはり自身の政策の周知不足だ。2月から活動を開始したばかりのYoutube公式アカウントの登録者数158人、Instagaramフォロワー370人、Twitter2,379人と、SNSの発信力も限定的だった。区内の高齢者に、内藤氏の主張は広まらなかった可能性が高い。やはり認知度不足は否めなかった。
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