ストが多発する国、見られない国(上)ポスト・コロナの「働き方」についてその6
Japan In-depth / 2023年4月26日 11時0分
株価の大暴落によって、銀行業界も大打撃を受けたが、ミシガン州のある銀行に対してだけは、まったく同情が集まらなかった。その銀行の資金運用は、もともと過度に投機的なものだったからで、その銀行の通帳に山猫(本当は豹ではないかと思えるが、画像を見たことはないので笑)が描かれていたことから、適正な手続きを踏まずに利益を得ようとする行為を、山猫と呼ぶようになったのだという。
話を戻して、物価上昇率に見合う賃上げを求める今次のストライキには、前述のように同情的な市民も多く、保守党スナク政権が対応を誤るようだと、次の総選挙で労働党に追い落とされる可能性が大である、とまで言われている。
話題をフランスに転じて、デモ隊の一部が暴徒化までした事態は、マクロン政権による年金改革を発端とするものだ。
公的年金の受給開始年齢を、従来の62歳から64歳に引き上げることを柱とするもので、法案は1月19日に提出された。
これに反発した労働組合がストライキを実行すれば、政府与党は3月に国民議会で法案を強行採決するといった具合に、対立がエスカレートしたのである。
公共交通機関はもとよりゴミの収集作業員までがストに参加して、街にはゴミが山積みとなり、デモには全国で100万人以上が参加。首都パリの混乱状態を受け、英国王チャールズ3世のフランス訪問も延期の沙汰となった。
英国のメディアは、自国のストライキ問題と並んで、連日大きく報じているが、おおむね、
「平均寿命が延びているのだから、より長く働く必要がある」
として、フランス政府の改革案を支持する論調が優勢だと見受けられる。日本のメディアでは、フランス国民の7割が反対しているとして、マクロン大統領の求心力が低下した、というように報じられているが。
もともと、年金制度の改革は今世紀に入ってから繰り返し取り沙汰されてきたことで、マクロン大統領自身も3月にインタビューを受けた際、
「私が働き始めた頃、フランスの年金受給者は1000万人ほどであったが、今や1700万人を超えている」
として、早急に対策を講じなければ、予算不足によって年金制度そのものが不安定になりかねない、との危機感を表明している。
政府としてはもっと早く着手すべきだったのだが、新型コロナ禍でやむを得ず後ろ倒しにしなければならなったとも述べているが、事実、2019年にも年金改革の構想が浮上した途端に大規模なデモが繰り返されており、この時は法案の上程を断念せざるを得なくなった経緯がある。
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