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福島県、大学合格者数から考える

Japan In-depth / 2023年4月28日 11時0分

図1で興味深いのは、首都圏、関西圏、さらに富山、鹿児島を除き、都道府県の東大・京大の合格者数は、基本的に相関することだ。つまり、東大に合格者が多い都道府県は、京大にも合格者が多い。東大、京大の合格者数は、都道府県の教育レベルを反映しているのだろう。





ただ、福島県は地元の東北大学に多くが進学しているため、東大・京大の合格者が少ない可能性がある。東北大学の合格者数はどうなっているだろうか。





東北6県の東北大学の合格者数は、高い順に宮城県1.78人、山形県1.38人、青森県1.20人、秋田県0.81人、岩手県0.74人、福島県0.66人と、福島県は最下位である。つまり、大学受験に関し、福島県は東北地方で最もレベルが低いと言われても仕方ない。これは由々しき事態だ。





なぜ、こんなことになるのだろうか。私は、高等教育に対する公的投資に格差があるからと考えている。





国立大学には、国から運営費交付金という形で税金が投入される。2022年度に受け取った運営費交付金は多い順に東京大学719億円、京都大学487億円、東北大学401億円、大阪大学389億円、東海国立大学機構370億円、九州大学347億円と続く。





上位18大学のうち、17大学は戦前からの大学、残る一つは旧制第七高校造士館に由来する鹿児島大学だ。戦前からある大学のうち、下位に位置するのは理系学部が存在しない一橋大学だけだ。





一方、19位以下は、信州大学、東京医科歯科大学、富山大学、愛媛大学などの戦後生まれの大学が続く。





この序列は示唆に富む。国立大学の「格」が戦前から変わらないことを意味するからだ。明治から戦前にかけての、中央政府での権力争いが、そのまま反映されている可能性が高い。福島県は戊辰戦争の敗者だ。割を食っていてもおかしくない。





福島県に存在する国立大学は福島大学だけだ。その運営費交付金は32億円。82大学中、70位だ。同レベルの大学としては、長岡技術科学大学、鳴門教育大学が存在する。新潟県、徳島県には、新潟大学、徳島大学のような別の総合大学が存在し、長岡技術科学大学、鳴門教育大学に期待される役割は限定的だ。県内の唯一の国立大学が受け取る運営費交付金が、このような大学と同レベルという事実は、福島県が冷遇されていることを意味する。





おまけに福島県は人口が多い。東日本大震災以降、急速に減少したが、それでも178万人(2023年3月1日現在)だ。国立大学の運営費交付金額を、県民一人当たりに換算すると、さらに格差は拡大する。京都府は福島県の12.7倍、富山県は6.4倍だ。





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