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福島県、大学合格者数から考える

Japan In-depth / 2023年4月28日 11時0分

東北6県でも、この状況は変わらない。18才人口1万人あたりが受け取った2022年度の運営費交付金は、多い順に宮城県230億円、秋田県121億円、山形県110億円、青森県90億円、岩手県61億円、福島県21億円と、福島県は断トツの最下位だ。





繰り返すが、この状況は、明治以来、続いてきた。今春の大学入試で、福島県が東大・京大の合格者数で最下位になるのも、宜なるかなだ。憂うべきは、このような理不尽に福島県の人たちが慣れてしまい、問題と思わなくなっていることだ。





理不尽な事例は枚挙にいとまがない。例えば、水産学部の設置だ。三陸沖は世界的に有名な好漁場だ。ところが、福島県はもちろん、東北地方には、「水産学部」の名を冠した学部を有する国立大学はない。鹿児島大学、長崎大学には水産学部、山口県には水産大学校が存在するのと対照的だ。なぜ、東北地方で、もっと水産の研究を進めないのだろう。さらに、どうして、東日本大震災の復興策の一環として、福島大学に水産学部の増設を求めなかったのだろう。





今年4月、福島県浪江町に開設された「福島国際研究教育機構(エフレイ)」も不思議な存在だ。政府は、世界最先端の研究・開発や人材育成に取り組むというが、果たして、地元のためになるのだろうか。





おそらく、この組織は2011年に開設された沖縄科学技術大学院大学と似た存在になるだろう。大学院での研究を中心に、世界中から優秀な研究者が集うはずだ。私は、寡聞にして、沖縄科学技術大学院大学が、沖縄県の高校生の教育レベルを向上させたという話はきかない。地元の高校生にとっての進学先とはならないからだ。





福島県に必要なのは、世界トップランクの研究機関ではない。高校生が進学したいと憧れる大学だ。悲しいかな、福島大学は、そのような存在となっていない。





政府が、本気で福島の地域力向上を考えるなら、福島大学、福島県立医科大学、「福島国際研究教育機構(エフレイ)」を合併させ、さらに水産学部などを新設すればいい。





この枠組みなら、地元の高校生が入学することができる。国内外から集う優秀な研究者たちも、地元密着を希望しているはずだ。折角、巨額の税金を投入するなら、もう少し、人材育成を考慮したらいい。長年にわたる福島の宿痾を克服する一助になるはずである。





トップ写真:会津若松市鶴ヶ城 出典:MIXA/GettyImages




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