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台湾の「統独問題」再考

Japan In-depth / 2023年4月28日 18時0分

第2に、(語弊があるかもしれないが)「現状維持し、その後、様子を見て統一か独立を決める」(29.6%)という“日和見的”な人達がいる。台湾人の中には、そう考える人が少なくない。だが、仮に、その半数(14.8%)が将来、「台湾独立」を望んでいるとすれば、「台湾独立派」は合計73.0%に上るのではないだろうか。ひょっとして、この数字こそ、多くの台湾人の“本音”なのかもしれない。





ところで、アンケートの質問者も回答者も分析者も、「台湾独立」に関して正確に理解した上で質問・回答・分析を行っているのかは大きな疑問符が付く。





我々が以前からたびたび指摘しているように、「台湾独立」の本来的意味は、蒋介石父子統治時代、一部の台湾人が「中華民国体制からの独立」を主張していた。けれども、彼らは決して「中華人民共和国からの独立」を主張していた訳ではない。





ところが、国民党と中国共産党が「一つの中国」という“幻想”を作り上げ、世界がそれを支持した(驚くべき事に、今でも世界中のほとんどの国々がその“幻想”を支持している)。そして、両党は、互いに統治していない領土 (国民党は中国大陸を、中国共産党は台湾) をあたかも自己の支配領土と言い張って来たのである。実態は、現在に至るまで、誰がどう見ても「二つの中国」ないしは「一つの中国、一つの台湾」である。





他方、台湾は今もなお、中華人民共和国に統治されていない。21世紀に入り、2002年、東ティモールがインドネシアから独立した。また、2011年、南スーダンがスーダンから分離・独立している(2005年以降、スーダン政府から南スーダンは自治を認められていた)。





台湾は中華人民共和国から直接統治されていないのに、どのように同国から「独立」するのか。





更に、中国共産党は「カイロ宣言」を台湾領有の根拠としている。確かに、その“草案”は存在するが、肝心の「カイロ宣言」の“正文”は世界中、どこにも存在していない。





1943年11月、エジプト・カイロで、ルーズベルト米大統領・チャーチル英首相・蒋介石中華民国総統が会談を行った。しかし、大戦中の「ビルマ戦線」や大戦後の「香港返還」問題等を巡って、チャーチルと蒋介石が衝突している。そのため、3首脳は「カイロ宣言」の署名に至らなかったという。





ちなみに、昨今の「台湾独立」とは、台湾が「中華民国」という国名変更して「台湾共和国」となり、かつ、「中華民国憲法」を廃止して「新憲法」を制定するということではないか。





以上を理解した上で、台湾人に「台湾独立」を尋ねるならば構わない。けれども、その真の意味を知らずして、台湾で「統独問題」のアンケートを行ってもあまり意味を持たないのではないだろうか。





 





〔注〕





(a)博尔顿4月底将访台: 2024美总统参选人中首位





(b)台湾地区人民的“统独立场”和“身份认同” - 美中故事汇





トップ写真:レーガン図書館でケビン・マッカーシー氏と会見する蔡英文総統 出典:Photo by Mario Tama/Getty Images




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