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「セメント王」浅野総一郎② 埋め立て計画に抵抗勢力が勢いづく

Japan In-depth / 2023年5月3日 23時0分

埋め立て、築港計画は2回退けられたが、失敗してもくじけないのが総一郎の真骨頂だ。挫折をバネに挑戦を続ける。まずは実地調査が必要だと思い、神奈川から東京の海岸を五回にわたり実施した。特に横浜港に隣接する鶴見川の河口から多摩川までの海岸は念入りに調べた。





この場所は、東京と横浜の中間地点で、新橋、横浜間は東海道線の鉄道が走っている。それを使えば、船で運んできた物資をすぐに汽車で運ぶことができる。水上交通が陸上交通に結節している利便性の高い、埋め立て地だ。それが5回の調査の結論だ。





こうした調査結果を踏まえ、総一郎は150万坪を工業用地として埋め立てる計画を神奈川県庁に届け出した。前例のない大規模な埋め立てのため、「無謀すぎる」という批判も多く、出資を希望する者もいなかった。県からは、なしのつぶてだった。





総一郎は何度も県庁を訪れた。





「私の出した埋め立て計画はどうなっているのですか」。





 神奈川県知事の周布公平はこう言い放った。





「これほどの大事業、許可できない」。





総一郎は絶体絶命のピンチに陥る。ところが、救いの手を差し伸べる人物が現れた。





(③につづく。①)





トップ写真:浅野総一郎翁銅像(神奈川県横浜市神奈川区、浅野中学校・高等学校)ⒸJapan In-depth編集部




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