1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

観光と買い物と外国語 正しい(?)休暇の過ごし方 その3

Japan In-depth / 2023年5月9日 11時0分

高校生の時に『週刊プレイボーイ』に掲載された記事の一節を、今でも覚えているのだが、イタリアで買い物をする際、日本人の女の子の横で、さりげなく「クアント?」と言えればグッチ、だと笑。





当時の私は外国語の素養はおろか、海外旅行の経験さえなかったが、これを書いた奴、バッカじゃなかろうか、と思った。これで「イタリア語ができる人」だと思ってもらえる、などと、まさか本気ではないだろうが。





たしかに、イタリア語で「いくらですか?」という表現はQuant costa?だが、それが通じたとして、相手が値段を答えてくる、そのイタリア語が理解できなければ、かえって恥をさらすだけではないか。基礎的なやりとりもかなわないのならば、最初から見栄を張るべきではない。





前述の自動翻訳機がバカ売れしたという話を聞かないのも、とどのつまり実用のレベルに達していなかったからだろうと思う。





ただ、将来にわたってこの限りだとも考えにくい。





前に、AIに取って代わられるであろう仕事について述べたが、今後もしかしたら、たとえばスマホのアプリに落とし込んで、お互いに言語を指定すれば同時通訳してくれる、というようになるかも知れない。目の前の相手とスマホ越しの会話にはなるが。





いや、すでにそうしたソフトが実用化されるのも時間の問題だからと、英語教育不要論をとなえるインフルエンサーも見受けられる。





まあ、今の学校教育における受験英語が、まるっきり「実戦」の役に立たないことは、私も経験上よく理解しているのだが、それとこれとは別の話で、翻訳ソフトがあるから外国語を勉強しなくてもよいというのは、やはり極論ではあるまいか。





そのまた一方では、IT企業を中心に、社内で「英語公用語化」の動きも広まっている。





これもこれで極端な気もするが、まあ仕事上のメリットがある、との経営判断だろう。かつて「駅前留学」のCMが盛んに流れていたが、その延長線上にある現象かと思える。これも、学校で実用的な英語をきちんと教えてないからだ、との意見は変わらないが。





いずれにせよ、ビジネスはともかく、海外旅行に必要な英単語の数など、知れたものだ。





これまで、幾度となく引用させていただいたのだが、元ヤクザでJALのパーサーという経歴も持つ作家の安倍譲二が、自身のフランス語について、





「お金を持っている間だけ通じる」





と述べたことがある。言い得て妙。大笑いし、かつ大いに共感した。





真面目な話、観光客相手の商店や飲食店では、なんとか客の注文を理解しなければ商売にならないわけだから、従業員が一所懸命にこちらの英語を聞いてくれる。新型コロナ禍以前の話だが、箱根の土産物屋の店員さんたちが、中国語のレッスンを受けていると報道番組で取り上げられていたが、立場を逆にして考えてみればよいのだ。





この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください