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サービスとマナーについて 正しい(?)休暇の過ごし方 その4    

Japan In-depth / 2023年5月11日 18時0分

「おっさん、俺が朝鮮人じゃなくて、よかったなあ」


 と静かに答え、店主を鼻白ませたという。このような差別発言は論外としても、客に対して横柄な口のきき方をする寿司屋は、どうやら本当にいるらしい。『美味しんぼ』(雁谷哲・原作、花咲アキラ・画 講談社)という漫画にも登場する。


 私の場合、寿司屋で不愉快な思いをしたことはない。


 まず光り物(アジやコハダ)を注文し、続いて、


「今日は、白身のオススメはなんですか?」


 と職人に聞く。これで「てめえの食う物も分からねえ奴は……」などと言う寿司職人などいない。むしろ、ものを知らない客ではない、と思ってもらえる。


 やはり昭和の時代に、檀一雄や池波正太郎といった、食通としても知られる人のエッセイをよく読んでいたので、一見(いちげん)さんとして寿司屋に入っても、自然に振る舞えるというわけだ。


 西洋料理にしても同様で、こちらの方は、おかしなことを言い出すようだが、若い頃ファミレスでアルバイトした経験が生きている。


 料理専門学校を出て就職してきたような、将来は自分の店を持つか、チャンスがあれば名のある店で本格的な料理を学ぼう、と考える同年配の人たちが、つまり同僚だったわけで、たまの休みには、皆でスーツを着てディナーに出かけたりした。普段の食事はまかない付きなので、時には散財しても大丈夫。当時の私は、フリーターの走りみたいな存在だったが、焼き肉を腹一杯食べるのが夢、という世界ではなかった。


 当時はまた、若いうちから贅沢を覚えるのはよくない、などという考え方が、まだまだ幅をきかせていたように思うが、私は、そんなことは全然ない、と確信していた。


若いうちに世界三大珍味(キャビア、フォアグラ、トリュフ)はじめ、おいしいものを食べ歩くことができた経験は、ちゃんと物書きとしての栄養になっている。


 まかないを含めて洋食三昧だったので、たまには寿司でも、ということもあったが、嫌みな表現になりかねないことを承知で言わせていただければ、回転寿司など見向きもしなかった。読書だけでなく「現地取材」もしていたのだ。


 誤解のないように強調しておきたいのだが、私は別に、飲食店の従業員に侮られたくなかったら、それなりに飲食に投資し、勉強もしておくべき、などと言いたいのではない。


 現実問題としては、そういう面もあることは否定できないのだが、そもそもサービス業であるはずの飲食店員が客をバカにしたり、果ては暴言を吐くなど、言語道断という他はない。


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