新聞の「横並び休刊日」について 正しい(?)休暇の過ごし方 その5
Japan In-depth / 2023年5月12日 18時0分
編集部や印刷所の従業員を休ませるため、ということになっているが、おかしな話ではないだろうか。
ニュースがなにもない日、というのは考えにくいわけだから(夏枯れとか、時期的な問題はあるにせよ)、交代で働けばよいだけの話である。これも前回のシリーズで述べたが、フランスなど夏のバカンスは1ヶ月もあるのが普通で、新聞社とても例外ではないのだが、夏期の新聞休刊日というのはない。
そもそも月1回しか休日がないというのなら、まさにブラック企業だが、そういうことではなく、日常業務は交代でこなしているわけで、ことさら休刊日を設定する意味があるのだろうか。
大体、各新聞社が「談合」して、休刊日までも「横並び」とは、どういうことか。
新聞だけではなく、週刊誌も連休中などは休刊する。ちょうど手元に最新の『週刊文春』があるが、発行日は「5月4・11日ゴールデンウィーク特大号」となっている。
ご存じの読者も多いと思われるが、同誌には「新聞不信」と題した連載コラムがあって、毎週各紙の記事を辛口で論じている。私の記憶が確かならば、この「横並びの休刊日」が俎上に載ったことはないようだ。それはまあ、書けないだろう笑。
もっとも、かく言う私自身、これまで問題意識を持ったことなどなかった。今次のシリーズのために、様々な国・文化圏の休日や祝日について調べを進めている間に、たまたま知人との会話で、
「そう言えば……」
と話題に上がった次第である。
どうしてそのようなことになったのか、つらつら考えるに、これは日本特有の新聞宅配制度のなせるわざではないだろうか。
端的に、日本で暮らしている間は、新聞とは、
「毎日自宅の新聞受けに届く物」
であるが、海外だと
「気が向いた時に買う物」
であった。
厳密に言うとロンドンで暮らしていた時も『朝日新聞衛星版』は、大手クーリエ会社であるOCSによって毎日配達されてきていたし、昭和天皇が逝去した日など、深夜に号外まで届けられた。
さらに言えば、私は商売柄、全国紙で勤務した経験のある友人知人も複数いるのだが、彼らは口を揃えて、
「休刊日と言っても、記者は意外と休めないよ。あれはもっぱら、販売店のためのものだね」
と語った。
この話と、前述のフランスのように、バカンスが4週間もあるような国でも新聞休刊日というものはない、という事実をつき合わせれば、問題の本質は自ずから明らかとなる。
部数合戦などということが言われて久しいが、その実体は、野球のチケットやら日用品やらの「カクザイ=拡販材料」で契約を取ろうというものに過ぎない。
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