アメリカはいまーー内政と外交・ワシントン最新報告 その1 熱い論議は中国とトランプ
Japan In-depth / 2023年5月17日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・ワシントンの議論の的は「中国」と「トランプ前大統領」。
・超党派で異常なほど中国を論じ、その傾向はますます強固に。
・アメリカ政治のカギを握るのはトランプ前大統領。
国際情勢は激動が続いている。日本が議長国となってまもなく始まる主要先進諸国のG7首脳会議も無法な膨張を続ける中国、ウクライナへの侵略を止めないロシア、ミサイル発射を続ける北朝鮮、そして独自の核兵器開発を急ぐイランなど、緊急の課題が切迫感を強める。わが日本もこれまでの内向き志向を根本から変えざるをえないような新試練に直面したといえる。
そんな激動のなかで日本にとって超重要なのは同盟国のアメリカの動向である。いまの国際激変が軍事的要因を増大させて迫ってくる国際環境のなかで、わが日本は対外的にも自国の安全保障でも、軍事という要因に背を向けてきた。アメリカ占領軍が作った日本国憲法のためだといえよう。
だがそんな日本にも中国や北朝鮮から軍事的な脅威や挑戦が明白に押し寄せてくる。そんな危機に対してはいまの日本は同盟国のアメリカの軍事抑止力に依存して、自国の安全を守らざるを得ないのである。
だからそのアメリカが対外的にどんな政策をとるのかは、日本の存亡にさえ大きなカギとなってくる。
アメリカのその対外政策を左右するのはアメリカの国内事情であり、国内世論だといえる。つまりアメリカの外交や内政のあり方は日本の国運を変えるほどの重みを持っているのだ。だから日本にとってアメリカの内政や外交の現状を正確に把握しておくことは致命的に重要な作業となる。
ではいまのアメリカではなにが起きているのか。私自身のアメリカ取材の最新結果を報告したい。
本日は、「アメリカの内政、対中政策――ワシントン最新報告」と、ちょっとおこがましい感じのワシントン最新報告ということでお話をさせていただきます。
ワシントンの報告という部分は間違いなくて、2月、3月、4月と3カ月ぐらいワシントンにおりました。私の報道活動の拠点はまだワシントンにあるのですが、最近は日本で過ごす時間がちょうど半分ぐらいになりました。とくに、コロナで日本側の出入りが非常に難しい時があり、皆さんも体験されたかもしれませんが日本入国では2週間も禁足になるという状態が長く続きました。となると何もできないことになり、動けません。
一方、ワシントンのほうは、もうかなり前からマスクのない世界です。歩いている人のマスクは皆無、屋内の会合でもまったくマスクなし。会食の場でもマスクをしている人がいない。ではコロナがなくなったのかというと、あるのです。だから、彼らの考え方では、もう、コロナによって自分たちの私生活あるいは職業生活、社会生活が影響を受けるという状態は拒否しようという態度のわけです。そしてそれなりにその方法が機能しています。
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