1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

中国軍の日本奇襲作戦

Japan In-depth / 2023年5月29日 7時0分

古森 「では中国軍はもしこの種の在日米軍基地などへの奇襲攻撃に踏みきる場合、どんな方法をとるでしょうか」





ヨシハラ 「奇襲攻撃はほぼ全面的にミサイル攻撃となるでしょう。在日米軍基地への攻撃には人民解放軍ロケット軍の準中距離弾道ミサイルのDF21C(射程1500キロ)、準中距離巡航ミサイルのCJ10(射程同)、中距離弾道ミサイルのDF26(射程4000キロ)が主力となるでしょう。





 ただし中国軍には台湾有事からアメリカとの戦争につながりうる軍事行動ではこの種の先制・奇襲とは異なる攻撃シナリオも存在します。台湾攻撃の第二のシナリオだといえます。それは台湾攻略のための軍事力行使を事前に宣言、あるいは示唆して、戦術核の使用の威嚇をして、アメリカや日本の参戦を事前に阻もうとする方法です。





あるいは完全に台湾攻撃とまではいえない台湾に対する海上封鎖、航空封鎖をして台湾の防衛力を大幅に弱めて、アメリカや日本の参戦を手遅れの形へと追い込む戦略も中国軍内部では論じられています」





古森 「この中国軍の奇襲作戦というのは現実的にどの程度の実現性があるといえますか」





ヨシハラ 「台湾攻撃の方法のなかでも、この奇襲攻撃はアメリカなど敵側の反発をもっとも強く受けるというリスクは中国側も十分に承知のはずです。もしこんな攻撃を断行すれば、アメリカ、日本だけでなく、ほぼ全世界の全面的な反撃を受けるでしょう。





そんな事態での中国側の人的損害、さらに経済的な損害を考えれば、奇襲には踏みきれないとする要因も多々あります。中国にとってのこうした巨大な代償は真剣に考慮せざるを得ないことは当然です。だから中国首脳部にとっては国家の存続を賭けた重大決定ということになります」





古森 「こうした危険な情勢のなかでの日本の最近の反撃能力の取得という新しい国防政策は中国にはどんな影響を与えると思いますか」





ヨシハラ 「中国軍は日本側のこの新しい軍事能力の取得に真剣な関心を払っています。日本にとっての反撃能力の初めての保持というのは、中国にとっては当然、有事の際の損害の拡大を意味するわけです。だから中国が日本への軍事攻撃を考える際には日本の反撃能力は抑止の効果を増すことになるはずです」





ヨシハラ氏は以上のような戦略的な考察を「中国軍の先制攻撃と在日米軍基地」と題する報告にまとめて、最近、発表した。同報告の拡大版はアメリカ海軍研究所が発刊した「中国のインド太平洋での未来の戦争観」という書にも盛り込まれた。





**この記事は日本戦略研究フォーラムのサイトへの古森義久氏の寄稿の転載です。





トップ写真:天安門広場で、1949年の中華人民共和国建国70周年を祝う軍事パレード(2019年10月1日 中国・北京)出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください