ネパールと日本の医療の"スタンダード"の違い
Japan In-depth / 2023年5月30日 23時34分
その他の患者の場合は、パートナーや親とぎゅうぎゅうになりながらベッドをシェアして寝ています。二人分以上かかってしまう食事や滞在費のことを考えると、なかなかネパールで入院という選択肢を考えることって厳しいなと感じました。
そして、医師の勤務スタイルについて。医者といえば食いっぱぐれはない、というのが日本でのイメージだと思いますが、意外にもネパールの医者はほぼ全員、アルバイトをしています。それもそのはず、ネパールの医師の給料は大体月に6万円前後です(ネパールの一般的な平均月収は約1万円)。大学教授などになれば月20万ほどになるのですが、ネパールの医学部に通うのには合計で4~500万ほどかかると言われていることを考えると、これでも全然十分ではありません。
そのため、大体どの医師も毎日コンサルタント、パートタイムの医師として働いており、本来の病院にいるのは数時間というのが現状です。パタン病院などは特に特徴的で、病院の隣にクリニック用のルームが用意されていて、定時になると先生たちが皆んなそっちに移動して、時間外診察を始めます。時間外診察の利点は、患者側が自分でどの医師に診てもらうかを選べるという点です。そのため、診察代なども割高ですが、結構な方が利用されている印象でした。
余談になりますが、ネパールでは医学部の入試形式も独特です。例えば定員が100人の医学校があったとして、大体その3倍ほどの合格者が出るのですが、入学金を準備できた人から入学が認められるという形式になっているそうです。そのため、受かった時点から、いかにお金をかき集めるかという勝負が始まります。ネパールの医学生の友達はたくさんいますが、ミスネパールだったり現地の俳優だったりと、何かと有名人が多いのですが、実際に現地の医師の方々から話を聞いてみると、なるほどそりゃ一般人には無理だよなと感じました。
海外に行くたび、世界は広くて、自分はちっぽけだなと感じます。そして、医療というのは、つくづく人類学だなとも。文化や社会通念、宗教などが複雑に絡み合って、その上に、その土地での医療の歴史と実践があります。ネパールの医療を2週間見させていただいただけでも、日本とこんなにも違うのか?!と驚きの連続です。制度があるからといって、その上で全ての物事が動いてるとは限りません。情報が誰でもインターネットで手に入るようになった現在だからこそ、一次情報に自分で当たりにいく。コロナの規制が緩和されつつある今こそ、そのような価値が再認識されるようになるといいなと思います。
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