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北朝鮮、「偵察衛星」発射の意図

Japan In-depth / 2023年5月31日 23時0分

偵察衛星なら一つだけでは実用運用には不十分だし、静止軌道に乗せるなら南方向には打たないのではないか。どう考えても、新型ICBMのテスト、しかもある程度技術的に進化したバージョンを試験していると見るべきだろう。「何の意図で打つのか?」とよく聞かれるが、意図は米国に届く核弾頭ICBMの実戦配備である。





NYTを読んでいたら、中国の「ピン芸人」が国家主席の解放軍関係発言を茶化したジョークを言っただけで、2億円以上の罰金と無期限活動停止に追い込まれたという喜劇(悲劇)を報じていた。詳しくは今週の産経新聞をご覧頂きたいが、要するに独裁政治が行き着くところまで行けば、庶民の「笑いのスペース」が失われるということ。





独裁政治下でも、権力者を「笑い飛ばす」ことで一般庶民は何とか我慢して付いてくるものだ。笑いという貴重なスペースの喪失は、1966-76年の文化大革命時代でもなかった、と昔聞いたことがある。哀れな北京の「ピン芸人」の末路は「喜劇」にもならない、中国社会の新たな「悲劇」だとしか言いようがない。





〇アジア 





アジア安全保障会議の際の米中国防相会談を中国側が拒否したそうだ。中国側は「アメリカは直ちに間違ったやり方を正し、誠意を示して、両軍の対話や意思疎通のために必要な雰囲気と条件を作るべきだ」と批判したそうだが、まるで理由になっていない。解放軍は、昔の帝国陸軍と同じように、米国との対話を拒否しているのか。





〇欧州・ロシア





ウクライナの陰でコソボが荒れている。セルビア系住民のデモ隊がNATO主導平和維持部隊と激しく衝突し、治安の悪化が懸念されている。コソボはコロナ禍前に行ったことがある。同地はセルビアの古都だが、人口的には圧倒的にイスラム・アルバニア系が多数。このままではセルビアのEU加盟交渉進展は難しいだろう。





〇中東





イラン最高指導者が公式訪問中のオマーン国王にエジプトとの関係修復を「歓迎する、問題ない」と述べた。サウジアラビアに続きエジプトとも正常化が進みそうだ。ということは、「サウジ・イラン仲介は中国外交の成果」ではなかったということ。今中東湾岸地域では新たな外交的均衡に向かって地殻変動が起きていると見るべきだ。





〇南北アメリカ





米政府債務の上限停止問題がまだ燻っている。共和党強硬派は大統領・下院議長合意案の歳出削減は不十分と主張、31日に下院で採決できるか見通せない状況だそうだ。ここでマッカーシー下院議長の指導力が問われるが、彼は議長選出に15回もの投票を要した「弱い政治家」だ。相変わらず、アメリカの民主主義はややこしい。





〇インド亜大陸 





特記事項なし。





今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。





トップ写真:北朝鮮の金正恩委員長が、東海に向けて短距離弾道ミサイル8発を発射したという報道を見る韓国・ソウル駅の人々の様子。(2022年7月5日 観光・ソウル)出典:Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images




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