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インドネシアとマレーシア、EU パーム油関連規制に反発

Japan In-depth / 2023年6月4日 18時0分

インドネシアとマレーシア、EU パーム油関連規制に反発




中村悦二(フリージャーナリスト)





【まとめ】





・インドネシアとマレーシアは、EUが制定した森林破壊規制策に反発。





・ジョコ大統領は「貿易を阻害しインドネシアの小規模農家を痛めつけるもの」と言明。





・英では「インドネシアとマレーシアはパーム油に関するEUとの交渉を凍結」と報じられる。





 





世界のパーム油生産の約 85%を占めるインドネシアとマレーシアが、 欧州連合(EU)が制定した森林破壊規制策に反発を強めている。両国の関係相はパーム油生産団体代表と共に先月末、ブリュッセルでEU側に「同規制は差別的」などと迫った。英フィナンシアル・タイ ムズ紙はその結果について「両国は協議を凍結」と報じている。 両国はいずれもボルネオ島の州でパームヤシを栽培、それからパーム油を生産している。 





■ EU、森林保護策を強化  





EUの政策実行機関である欧州委員会は、2021年11月に採択した規則案「世界の森林の保護及び回復に向けたEU行動の強化」で、EU市場で「森林破壊」や「森林劣化」に関連するパーム油、大豆、牛肉、 ココア、コーヒー、チョコレートといった農産品、皮革製品、木材を 取り扱う場合、生産地の地理的情報の開示を求めている。 





EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は昨年12月、森林破壊防止に向けた適正評価手続き義務化の規則案について原則合意した。それによると、EU域内での販売品ないし域内からの輸出品が、焼き畑など森林破壊で開発された農地で生産されていないことの確認を義務付けた。各国・地域の森林破壊リスクのレベル分けを行うベンチマ ーク制度を導入し、「高リスク国」には監視強化、「低リスク国」には 簡素化した手続きでの実施を2024年から行うことでも合意した。





また、森林破壊の定義は国連食糧農業機関(FAO)の定義を採用し、森林劣化は自然再生林や原生林をプランテーション用地に転換した場合などとすることでも合意したという。 





インドネシアのウィドド大統領、広島訪問時にライエン欧州委員会 委員長と談判  





インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は広島で開催されたG7サミットに東南アジア諸国連合(ASEAN)の代表(議長国)として招かれた際の5月21日、EUのライエン欧州委員会委員長と面談した (写真参照)。 





同大統領はその席で、両者間の経済連携協定の早期締結に期待を表明する一方、森林破壊に関するEUの規則は「貿易を阻害し、インドネシアの小規模農家を痛めつけるもの」と言明した。 そして、マレーシアのファディラー副首相兼プランテーション・農産品相とインドネシアのハルタルト経済担当調整相が翌週にインドネ シアとマレーシアの共同使節団として、EU本部のあるブリュッセル を訪問することを明かし、「偏見のない政策立案に向け、有用な具体 的なデータを提示したい」と述べた(インドネシア大統領府メディア 情報報道局資料2023年5月21日付)。 





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