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中国若年層の真の失業率

Japan In-depth / 2023年6月12日 21時0分

失業者数に関しては、A株上場企業(上海・深圳証券取引所で、人民元で取引)の平均従業員数が新型コロナ流行以前より11.9%減少し、中小企業の昨年の市場退出率(登記抹消率)は約10%と推算されている。


さて、王明遠は、16~24歳の失業率20.4%という数字が若者層全体を代表するものではない(d)と論じている。特に16~20歳は、もともと高等教育へ進学しなくても就業率が高くなく、ずっと18%以上を維持している。そこで、王は若年層失業率を新たに定義するため、独自に“16~40歳”の年齢層を選んだ。


王の推計では、新型コロナが流行した3年間で、新卒者のうち累積で約1500万人が就職せず、企業就業者の約10%が失業しているという。そのうち約2500万人が16〜40歳である。


 


他方、王は盧鋒北京大学教授の研究を引用し、過去3年間に少なくとも2300万人の農民工が失業して帰郷し、そのうち約1400万人が若者だと推定されるという。つまり、コロナ流行以降、約5400万人(1500万人+2500万人+1400万人)の若者が失業していることになる。


一方、こうした失業者の中には、例えば、滴滴ドライバーは3年間で1200万人以上、また、宅配便、配達員等のような「フレックスタイム」就業者は約800万人に増えた。けれども、全体の半分の2500万〜3000万人は依然、失業中だという。


以上から、失業中の若年層の絶対数は控えめに見積もっても、コロナ流行前より2500万~3000万人多い。この年齢層は、雇用市場全体(4億200万人)の約6.2〜7.5%に相当する。


更に、王明遠は、企業の採用減少と経済成長鈍化により、今後、数年間は雇用問題がより深刻化するのではないかと危惧する。なぜなら、農村の経済規模は、「ファーウェイ」の10社分、「ペトロチャイナ」の3社分、「京東」(Webサービス会社)の7.5社分程度である。高学歴の若者100万人か200万人を就職させるのがやっとだろう。


この10年間、中国の雇用増は基本的に民間経済の発展によって生み出されてきた。そこで、今後、北京政府は民間経済、特にデジタル経済とサービス業を支援し、若者の起業を奨励する必要があるのではないかと王は主張する。


〔注〕


(a)『中華人民共和国国家発展改革委員会』


「2023年4月の全国都市調査失業率は5.2%に」


(2023年5月25日付)


(https://www.ndrc.gov.cn/fggz/fgzh/gnjjjc/jyqk/202305/t20230525_1356377.html)。


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