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アメリカはいま――内政と外交・ワシントン最新報告 その16 米中対立は文明の衝突なのか

Japan In-depth / 2023年6月13日 11時0分

共和党側はバイデン政権の対中政策は生ぬるいといっています。バイデン政権もかなり強固になってきていますが、例えば軍事面での対中抑止は十分ではないような部分もある。





しかし話はややそれますが、日本側ではアメリカのこの中国に対する厳しい姿勢がもしかして変わるのではないかということを述べる人たちが一部にいます。突然、対中融和みたいになって、日本がアメリカの強硬路線にくっついていくと、ある日突然、朝起きたら取り残されたみたいになっている。こういうことを言う人が元駐米大使でもいました。





しかし、そうした突然の変化はちょっと考えられません。いまのアメリカの対中強硬政策がソフトになってしまうというのは、なかなか起きないでしょう。





その理由の1つは、中国側の言動です。自由民主主義とか、法の統治とかとアメリカが掲げている普遍的価値なんていうのは中国をやっつけようとするプロパガンダにすぎない、ということを習近平主席自身がはっきり述べています。アメリカとの対決の覚悟です。





そして中国は現実に軍事力をどんどん強めている。台湾でも、いざというときには攻めるぞというオプションを持ち、誇示さえしている。アメリカとして中国に融和の政策をとることはできません。





それから、もう1つは、アメリカ側の一般世論が中国に対して非常に厳しいことです。コロナウイルスも結局は中国からきたんだ、と中国を非難します。これは日本側の受け止め方とはまったく違うのです。アメリカ一般でも、武漢で発生したウイルスを習近平政権が50日間隠していた。そのために世界中に拡がって、アメリカが一番被害を受けたのだという認識がいまもあるのです。





この点が中国の他の言動で、アメリカ側から見て、けしからんという数々の事例と結びついて、感情的な意味合いもこめてアメリカ社会一般に反中という傾向が広まっているのです。だからアメリカの国政での中国へのいまの厳しい姿勢が突然、ソフトになってしまうという可能性はきわめて低いように思えるのです。





(その17につづく。その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8、その9、その10、その11、その12、その13、その14、その15)





**この記事は鉄鋼関連企業の関係者の集い「アイアン・クラブ」(日本橋・茅場町の鉄鋼会館内所在)の総会でこの4月中旬に古森義久氏が「アメリカの内政、対中政策――ワシントン最新報告」というタイトルで講演した内容の紹介です。





トップ写真:人々が行きかう夕方に、米中首脳によるオンライン会談のニュースを伝えるショッピングモールのディスプレイ。両首脳は3時間以上にわたり、貿易、気候変動、台湾などの問題を話し合い、バイデン氏が前年に当選して以来、最長の会談となった(2021年11月16日 中国・北京)出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images




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