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金正恩、軍事衛星発射失敗で威信失墜

Japan In-depth / 2023年6月13日 23時0分

現在までの情報では、1段ロケットは残骸とエンジンが、2段ロケットは燃料が入ったままの状態で海の底に沈んでいるという。ただ3段目の衛星部分は今のところ見当たらないらしい。はじめから衛星が積まれていなかったのか、または落下の過程で飛散したのかはわからないという。韓国軍は「正確な実体は精密分析を経て解明する予定」だと明らかにした。





■金正恩の焦りが失敗の原因





金正恩総書記は今年のはじめ、4月中での軍事衛星発射を予告していた。4月18日には「国家宇宙開発局」を視察し、軍事衛星発射を「絶対に放棄することも変えることもできない必要不可欠な先決的課題」と強調し、準備は整ったとして4月中の発射を指示した。





しかし、準備不足で延期され、5月16日に再度「国家宇宙開発局」を訪問して最終点検を行い、発射行動計画を承認し署名した。金正恩が、自身が決めた期日を延期してまで、万全を期して臨んだ上での発射失敗だった。





今回の失敗の主なる原因は、金正恩の焦りが根底にあったとの見方が有力だ。米韓日の圧力強化で、守勢に追い込まれた金正恩の焦りが大きく影響しているということだ。韓国の宇宙観測衛星「ヌリ号」発射成功も金正恩の焦りを誘ったと思われる。北朝鮮の内部情報筋は、北朝鮮軍の高位幹部が金正恩への忠誠心を示すために技術陣の反対を押し切って早期発射に踏み切ったと伝えてきた。





韓国軍関係者も、「今回の打ち上げは、過去より(打ち上げ手続きが)早く行われた」と明らかにしている。最近まで東倉里発射場の改修・増築などを通じて衛星体の組み立てや発射体の搭載、発射台の設置など発射過程を最大限隠すとともに、韓米の監視網を避けるために手順を短縮して急いで進めたとの観測だ。





また技術面では、より強い推力を出そうとしたエンジンの改良と既存のロケット燃料の成分調整比を変えたことが失敗の原因になったとの指摘もある。結局、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)15・17」に使用された白頭山(ペクトゥサン)エンジンを改良した液体燃料エンジンで衛星発射に挑んだが、技術的な欠陥を露呈したという分析だ。





それに加え、中国に配慮して、飛行経路を南東寄りに修正したことも失敗に関係しているのではないかと指摘もある。





■金正恩の権威に大きな打撃





今回の失敗は、2012年12月の失敗とは比べ物にならない打撃を金正恩に与えた。





北朝鮮は、1998年以来2016年まで5回に渡って衛星発射実験を重ねてきた。2012年の金日成誕生100年には、世界のマスコミを集めて発射成功を宣伝しようとしたが見事に失敗した。しかしその時は、金正恩のプロジェクトではなく、父金正日の継承だったために、金正恩権威への直接的打撃は大きくなかった。





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