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金正恩、軍事衛星発射失敗で威信失墜

Japan In-depth / 2023年6月13日 23時0分

しかし、今回の発射は、2021年の第8回党大会で、金正恩が国防5カ年計画の五大重点目標の一つに軍事偵察衛星開発を掲げ、





「最優先課題」として開発を急ピッチで進めてきた肝いりの金正恩プロジェクトだ。





金正恩は今年のはじめ、4月中での軍事衛星発射を予告していた。4月18日には「国家宇宙開発局」を視察し、軍事衛星発射を





「絶対に放棄することも変えることもできない必要不可欠な先決的課題」と強調し、準備は整ったとして4月中の発射を指示した。





しかし、準備不足で延期され、5月16日に再度「国家宇宙開発局」を訪問して最終点検を行い、発射行動計画を承認し署名した。





金正恩が、自身が決めた期日を延期してまで、万全を期して臨んだ上での発射失敗だった。その衝撃は2012年の失敗とは比較にならない。





この失敗は朝鮮中央通信で報道しただけで、労働新聞を始め国内向け報道機関では報道していなかったが、失敗のニュ‐スは、徐々に北朝鮮国民の中にも広まり、非難の声が上がりつつある。





内部からの情報によると、まずは、劣悪な人民経済と比較した非難が目立つ。住民の中には「発射を成功させることもできず、またもや大金を吹き飛ばしたので、力が抜けて言葉も出ない」「今のように状況が悪い時期に、弾道ミサイルや衛星を作って発射するのが民の命よりも重要なことなのか聞きたい」などの反応が多いという。





また、開発資金を人民経済に振り向けなければならないという声も出ている。「ミサイルや偵察衛星を作るのにかかる費用や努力の0.01%でも、住民たちの食料問題に気を使ったならば、これほどまでも困難を経験しなかっただろう」という訴えだ。





失敗のニュースを住民に知らせていない問題については、直接金正恩党総書記を批判する声もあるという。これと関連しては、「なぜ失敗をそのまま知らせないのか」「元帥様(金正恩)の偉大性宣伝にさしさわるとの判断のためだろう」と噂していると消息筋は現地の雰囲気を伝えてきた。





今回失敗に対する金正恩の怒りは、朝鮮中央通信の「衛星の打ち上げにおいて現れた重大な欠陥」との表現で示されているが、間もなく開かれる党中央委員会第8期第8回総会での幹部人事でその度数は明らかになると思われる。





トップ写真: ソウル駅で北朝鮮の指導者金正恩氏の画像を映したテレビ放送を見る人々。(2023年5月31日 韓国・ソウル)出典:Chung Sung-Jun / Getty Images




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