地盤沈下するパレスチナ問題
Japan In-depth / 2023年6月14日 11時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2023#24
2023年6月12-18日
【まとめ】
・パレスチナは2006年以降、大統領選挙、議会選挙が実施されない異常事態。
・UAE、バハレーン、モロッコ等がイスラエルとの関係正常化に踏み切った。
・イスラエルの変質とパレスチナの自己統治能力の欠如がもたらす弊害は大きい。
この原稿は12年振りに訪れたイスラエル・パレスチナからの帰国便の中で書いている。今回は振り返ってみれば3泊6日の強行軍で、再び自らの体力の限界を試す旅となったが、機内で良く寝られたせいか、体調は出発前より良くなったほどだ。まだまだ、脳みそはともかく、体力は大丈夫なのかもしれない。
それはさておき、まずは、いつもの通り、欧米から見た今週の世界の動きから始めよう。ここでは海外の各種ニュースレターが取り上げる外交内政イベントの中から興味深いものを選んでご紹介している。欧米の国際問題専門家たちの今週の関心は以下のとおりだ。
6月13日火曜日 米大統領、NATO事務局長と会談
【本来は12日に予定されていた会談が13日になったらしい。理由はバイデン大統領が前日11日に小臼歯の痛みで治療を受け、12日も再治療となったかららしい。北大西洋条約機構(NATO)事務総長との会談よりも歯の治療が優先?本当か、ということで話題になった。政治家も80を過ぎるとあらゆる憶測が噂となって流布されるから怖い。】
・欧州議会がAI(人工知能)法案につき投票
【外電によれば、チャットGPT等生成人工知能(AI)の規制法が欧州議会の本会議で採決・成立するという。法案策定は2年前で、内容は「顔認識や生体認証監視、その他AIアプリケーションの使用に関する規則を盛り込み、AI技術を管理する世界初の包括的規制」になるらしい。「公共の場での顔認識や予測的取り締まりツールの使用を禁止し、オープンAIのチャットGPTのような生成AIアプリケーションに新たな透明性措置を課す」というが、中国はどうなるのだろう。】
・トランプ前大統領が連邦法容疑で起訴され、マイアミの法廷に出廷
【このところ米国メディアではこの話で持ち切りだが、トランプ派と反トランプ派で認識は全く逆である。これでトランプの支持率が更に上がる可能性もあるので要注目である。】
6月14日水曜日 レバノン議会が新大統領を選出
【7ヶ月前にアウン前大統領が退陣して以来、レバノンでは大統領が決まらない。議員による投票が11回行われたが、いずれも大統領選出に失敗してきた。今回はようやく候補者が決まったということか。報道では国際通貨基金(IMF)中東・中央アジア局長だそうだが、いずれにせよ、大統領に政治的実権はない。レバノンは永遠にレバノンなのか?】
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