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アメリカはいま――内政と外交・ワシントン最新報告 その17 日本はどうすべきか

Japan In-depth / 2023年6月14日 15時0分

ところが日本側の状況を見ると、そうなるかどうかわからないですね。日本側も菅義偉、岸田文雄という最近の両総理大臣はアメリカ側の評判はよいといえます。岸田首相もアメリカ側での好感度はいまのところ高いといえます。その理由の根幹は菅、岸田両氏ともアメリカ側に向かっては中国への対応では台湾有事から始まりうる米中間の軍事衝突の可能性への対処も含めて、アメリカと行動をともにすると解釈できる言明をしてきたからです。


つまりいざ中国との衝突などになれば、日本もアメリカと一緒に行動するだろうという印象をアメリカ側に与えているのです。だが本当に日本がそう動くかかどうか、私はわからない。たぶんに不安が残ります。


 


 では日本が米中対立が激化して、もはや衝突という危険水域にまで達したときに、アメリカにも中国にもつかず、中間、あるいは仲介の立場をとるのだ、という動きをみせた場合、どうなるのか。


アメリカ側の中国の対外戦略の専門家たちは、この点の予測は一致しています。もし日本がアメリカから離れれば、やはり中国の支配権に組み込まれるだろうという予測なのです。中国は年来、日本をできることなら隷属させ、中国の支配圏に組み込むことを目標にしてきた、というのです。だから、日米安保にも反対、アメリカ軍よ、アジアから、日本から出て行け、という国策です。


だから、日本としては、やはり、中立とか、アメリカと中国の間に入って仲介役をするというような選択肢は、結局は中国に吸い込まれていってしまう道への第一歩だよということを、複数の、あまり強硬ではない中国研究者も含めて、アメリカ側では述べているのです。


同時に台湾有事で中国が台湾に武力攻撃をかけて、アメリカが軍事介入して、米中戦争となった場合に、もし日本がなにも軍事行動、防衛行動をとらないとなった場合、どうなるのか。


アメリカ側の中国研究者たちは、私の知る範囲内ではみな一致して、その場合は日米同盟の終わりだ、と断言しています。つまりアメリカは日本をもう防衛しなくなる、という意味です。


ワシントンの状況というのはそんな感じです。ご静聴をありがとうございました。


(その18につづく。その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8、その9、その10、その11、その12、その13、その14、その15、その16)


*この記事は鉄鋼関連企業の関係者の集い「アイアン・クラブ」(日本橋・茅場町の鉄鋼会館内所在)の総会でこの4月中旬に古森義久氏が「アメリカの内政、対中政策――ワシントン最新報告」というタイトルで講演した内容の紹介です。


トップ写真:赤坂迎賓館にて開催されたバイデン大統領の歓迎式典にて 岸田首相と。2022年5月23日、東京都港区 出典:Photo by Eugene Hoshiko - Pool/Getty Images


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