1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

西側の対トルコ関係改善か

Japan In-depth / 2023年6月18日 18時0分

西側の対トルコ関係改善か


村上直久(時事総研客員研究員、学術博士/東京外国語大学)


「村上直久のEUフォーカス」





【まとめ】


・エルドアン政権、NATOへの忠誠と露への経済的依存のバランス迫られる。


・トルコは露と宇双方とパイプがあり、今後、停戦交渉の重要なプレイヤーになろう。


・トルコのEU加盟交渉はエルドアン大統領再選で進展することはなさそう。


 


 5月末に行われた、地域大国トルコの大統領選、その決選投票でエルドアン氏が勝利した。薄氷の勝利だったが、エルドアン政権は外交面ではトルコもメンバーである北大西洋条約機構(NATO)への忠誠とロシアへの経済的依存をいかにバランスさせていくかという難しいかじ取りを引き続き迫られる。


 こうした中でエルドアン政権の権威主義的な姿勢に反発してきた西側では、大統領選が終わったことで、トルコとの関係改善を期待する向きもある。トルコはスウェーデンのNATOへの新規加盟に反対し米欧と一線を画してきたが、反対を取り下げるとの見方も出てきた。一方、トルコの欧州連合(EU)加盟問題での進展は望めそうもない。


 


■ F16売却が条件か


 西側はエルドワン政権の強権的姿勢に反発してきたが、同政権の継続は否定的な側面ばかり意味するのではなく「恩恵をもたらす}(米紙ニューヨーク・タイムズ)可能性もあるとみているようだ。


 米議会ではエルドワン政権のロシアとの緊密な関係や少数民族クルド人勢力に対する弾圧への反発が強い。


 トルコ側から見てみよう。トルコはNATOの一員だが、ロシアにエネルギー供給や貿易、ハードカレンシーの調達で依存しており、西側とロシアの間で綱渡りをしているような存在だ。トルコは西側の対ロ制裁には加わっていないが、ウクライナにはドローン(無人機)を提供。ロシアがウクライナの穀物輸出℉を妨害している問題では、トルコは国連とともに仲介の労を取っている。トルコはロシアとウクライナの双方とパイプがあり、今後、ウクライナ戦争で停戦交渉が開始されれば重要なプレイヤーになることは確実とみられる。 西側にとって無視できない存在なのだ。


 


■ トルコのEU加盟見通し立たず


 EU加盟国のは大半はNATOに属しており、NATO-トルコ関係の推移を注視している。こうした中で、トルコのEU加盟交渉は権威主義的なエルドアン大統領の再選で進展することはなさそうだ。トルコは1987年にEU加盟を申請。2005年に交渉が始まり、トルコはEUの要求を受け入れ、死刑制度の廃止に踏み切るなど歩み寄りの姿勢をみせることもあった。しかし、30数項目の交渉分野の大半で交渉は行き詰まっているとされる。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください