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みんな知らない 骨太すぎる「キシダノミクスと「3本の矢」【日本経済をターンアラウンドする!】その8

Japan In-depth / 2023年6月21日 23時0分

みんな知らない 骨太すぎる「キシダノミクスと「3本の矢」【日本経済をターンアラウンドする!】その8


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)





 


【まとめ】


・先日、閣議決定された、経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」。


・ポイントは、1「人的資本可視化」、2ジョブ型人事への転換、3リ・スキリング。


・未来の日本に必要な基盤になるようなことに着手しはじめた。


 


岸田政権への内閣不信任が否決された。衆議院の解散は回避された。創価学会を母体とする公明党との関係がこじれたこと、広島サミットで上がった支持率が息子さんの行動で急落が想定されていたことなどがあったためか、岸田首相は解散に打って出なかった。「解散権の根拠、主体、時期等に関する明確な規定をもたない」ために「解散権の濫用」と識者に批判された故・安倍首相のことも頭をよぎったのかもしれない。重大な対立がない場合に政権の都合で解散するようなことをしなかったわけで、岸田さんは穏健な判断をする人なのだろうと思う。


そして、先日、岸田首相は「骨太の方針」を打ち出し、閣議決定をした。骨太の方針とは、経済財政運営と改革の基本方針である。内容を見てみると、「新しい資本主義」で「成長と分配の好循環」を実現するため、賃上げ・物価安定を狙った様々な政策が並んだ。特徴的なのは労働分野である。相変わらず大手メディアは一部を除いて政策よりも、政局大好きで報道しないようなので、その政策的意味を伝えていこうと思う。


 


■ 本当に骨太な「労働市場改革」


ビジネス業界では盛んに言われている「人的資本経営」。人材を「コスト」ではなく「資本」として捉え、価値を最大限に引き出し、業績向上を進める経営のことである。この根幹となるのが、人や賃金はコストではなく、人こそ資本であるという考え方の転換である(以下参考)。骨太の方針でも、この考え方をもとに、人への投資に様々な政策を展開している。



図)筆者作成


なかでも、「成長分野への労働移動の円滑化」には注目すべきポイントがいっぱいだ。


【成長分野への労働移動の円滑化】


・失業給付制度において、自己都合による離職の場合に失業給付を受給できない期間に関し、失業給付の申請前にリ・スキリングに取り組んでいた場合などについて会社都合の離職の場合と同じ扱いにするなど、自己都合の場合の要件を緩和する方向で具体的設計


・自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けた「モデル就業規則」の改正や退職所得課税制度の見直し


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