ブリンケン米国務長官の訪中
Japan In-depth / 2023年6月25日 18時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・ブリンケン米国務長官、外交トップとして5年ぶりに中国訪問。
・バイデン大統領の習主席との電話会談要求は何ヶ月も拒否されている。
・共和党は、民主党によるトランプ弾劾の敵を討とうとして下院でバイデン弾劾訴追を目論んでいる。
今年(2023年)6月18~19日、アントニー・ブリンケン米国務長官が外交トップとして5年ぶりに中国を訪問(a)した。ブリンケン訪中に先立ち、米重鎮ビジネスマンら(マイクロソフトのゲイツ、テスラのマスク、JPモルガンのダイモン)の中国訪問が相次ぎ、米中間の経済的「デカップリング」に強く反対している。
さて、習近平政権の基本外交姿勢(b)とはどんなものか。
中国国民や近隣諸国に米国と対等な立場であることを示すため、ワシントンが北京に対して何らかの礼儀、何らかの敬意を示さない限り、話し合いを拒否する。したがって、習近平主席との電話会談を求めるバイデン大統領の要求は何ヶ月も拒否(c)されている。
一方、ワシントンは、たとえ恥を忍んでも、北京との対話再開を熱望する理由があるか。
第1に、ネット上では、バイデン大統領が副大統領在任中、中国との賄賂絡みの取引に関与していた(d)と疑われている。
米共和党は、バイデン大統領が中国に急所を握られているのではないかと考えている(c)かもしれない。そのため、バイデン自身が指導力を失わないよう中国側との意思疎通ライン確立を切望した。他方、共和党は、民主党によるトランプ弾劾の敵を討とうとして、下院でバイデン弾劾訴追を目論んでいるという。
第2に、バイデン政権は「米国は中国共産党の支配を変えるつもりはない」と公言している(つまり、米国は中国での「カラー革命」の推進や習政権の打倒を目指していないという意味)。
しかし、民主・共和両党は同盟国と組んで経済・貿易・技術の禁輸― “中国包囲網”構築―に邁進している。そこで、中南海は「米中は競争しても敵対しない」という米国の従来の立場を信頼できず、今回、ブリンケン長官を冷遇したのではないだろうか。
第3に、ブリンケン長官の記者会見は、「一中政策」を繰り返し、台湾海峡における中国の挑発行為に懸念を表明した。そして、米国は「台湾の独立を支持しない」(「台湾独立反対」よりも弱い)、「台湾海峡両岸の現状維持を望んでいる」、「台湾海峡での武力衝突は世界経済危機の引き金になる」と強調している。
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