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コラボクリニックの思い出

Japan In-depth / 2023年6月30日 18時0分

このクリニックの設立の裏方として、東大生を中心として当時のすずかんゼミに集っていた学生達が大いに活躍してくれた。冒頭で紹介した平川くんはその一人だ。学生は医学部だけでなく、法学部や商学部、芸術学部などさまざまで、医療や起業に関心がある学生達が集まっていた。彼らは医療機関開設の諸手続き、経理などを0から勉強し、内装や物品の準備、受付業務、開院を知らせるティッシュ配り等々、たくさんの業務を進めていった。


 


もちろん学生だけで本格的にビジネスを進められるわけがない。学生指導のため、すずかん先生が、当時ヤフーのプロデューサーだった川邊健太郎さん(現Zホールディングス代表取締役会長)、楽天にいた小澤隆生さん(現Zホールディングス取締役専務執行役員)、さらに当時カカクコム取締役相談役だった穐田誉輝さん(現くふうカンパニー取締役兼代表執行役)などに声をかけてくださった。強力すぎる助っ人だった。


 


当時すでにIT業界で名を馳せていた彼らは、多忙な中、貴重な時間を割いて学生達に仕事への取り組み方、ビジネスへの姿勢を指導してくれた。それこそ「ビジネスメールは夜中に送らない」という初歩的なことまでしっかり指導していたし、一方で学生のプレゼンの内容もビジネスマンの視点で厳しく注文をつけ、時には叱りつけてもいた。医者が卒後研修で受ける研修とは全く異なる次元の厳しさがあった。雑な仕事をした学生に手厳しく指導する川邊さん、小澤さん、穐田さんを見ながら「やばい、私も適当な仕事したら怒られてしまう」とドキドキしていたが、医者は別モノとして大目にみてもらっていたようだ。すずかん先生は常日頃から「次世代の若者育成の重要性」を語っておられるが、コラボクリニックの場はまさにそういう若者教育の場所でもあった。


 


さてコラボクリニックの医療に話を戻す。


 


2000年代当時、世のクリニックの診療は、日中のみで夜間は休診、日曜も休み、というところが多かった。だがコラボクリニックの経験から、それではある患者層の行き場がなくなると感じた。20-30代の若い世代は勤務時間に仕事を抜けにくい。保育園に子供を預けている親達が日中に子どもを病院になかなか連れて行けない。高血圧など薬を飲めば安定しているような病気なら、できれば仕事を休んでまで受診したくないという人も多いだろう。


それらのニーズに応えられるクリニックを作る必要があると痛切に感じていた。


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