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中国地方政府不正の実態

Japan In-depth / 2023年7月8日 18時0分

中国地方政府不正の実態




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・長期的負債を抱えた中国経済は、今後20年間後退する公算大との見方。





・地方政府融資プラットフォームの隠れ債務、22年度末までに3000兆円超すとの試算も。





・巨額の外貨預金を持ってしてもまだ債務が残ることに。





 





今年(2023年)6月27日、李強首相は天津で開催された世界経済フォーラムで、西側諸国が中国への技術的・経済的依存を減らすよう求めるのは「誤った提案」だと非難(a)した。





李強演説の一週間前、欧州委員会は、中国共産党による経済安全保障への脅威に対処するため、積極的な経済安全保障リスク戦略を発表した。他方、米国は、国家安全保障という名目で、西側同盟国に対し、中国の技術的依存を減らすよう促している。習近平政権が世界的に「戦狼外交」を展開している以上、これらの措置は仕方ないだろう。





さて、中国経済の実態はどうか。





一部のアナリストは、中国経済の救済は困難であり、同国は長期的な負債を抱え、経済状況は、今後20年間、縮小・後退する公算が大きいと(b)指摘している。





米サウスカロライナ大学の謝田教授は論文の中で、2021年から現在に至るまで、国際市場、国際協力、国際分業などによってもたらされた中国の「輸出志向の経済発展」の機会は、すべて海外に出てしまったと主張した。





実際、中国は欧米から技術、市場、注文を失い、世界の工場としての地位をベトナムやインドに奪われている。





また、謝田氏は、中国が直面している最大の問題は、地方政府が莫大な負債を抱えている点だと強調する。では、そのカネはどこに消えたのか。謝田によれば、共産党高級幹部、「紅2代・紅3代」(「中国革命」に功績があった幹部の子供や孫)等の特権階級の手に渡ってしまったという。





地方政府歳入の重要な要素である不動産市場も低迷している。本来、不動産は中国の貯蓄家にとって安全な投資先であるはずで、中国の富の70%以上が不動産に結びついている(c)。財政難のため、大学の学費を54%引き上げた地方政府もあるという。





ところで、このほど中国会計検査院は、地方政府が一連の架空の土地取引やその他の国有資産取引を通じて、収入を120億米ドル(約1兆7400億円)も水増ししていたと発表(d)している。





会計検査院によると、70の地方政府が国有資産の「売り買い」や架空の土地取引によって収入を粉飾していたという。これらの取引は地方政府と彼ら自身の間での取引であるため、地方政府にとって実際の歳入増とはならず、単なる資金移動に過ぎない。検査院によると、こうした取引のうち約80億米ドル(約1兆1600億円)が県レベルで行われたという。





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