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首相選出に2度も失敗 混迷増すタイ政治

Japan In-depth / 2023年7月23日 11時0分

首相選出に2度も失敗 混迷増すタイ政治




大塚智彦(フリージャーナリスト)





「大塚智彦の東南アジア万華鏡」





【まとめ】





・タイ国会は7月27日に次の首相選出を実施する方針。





・野党「タイ貢献党」から候補者が立候補する可能性も浮上。





・野党連合、親軍派、保守派が各々の思惑で動いており予断を許さない。





 





 タイの政治が混迷の度を増している。5月の総選挙で大躍進し第一党に躍り出た野党「前進党」のビター党首を次期首相に指名する上下院の7月13日の選挙で同党首は必要な票数を獲得することができず、19日に2回目の選挙が行われる予定だった。しかし議会は「同じ法案は2度審議されることはない」との規定を当てはめて、ビター党首の2回目の立候補を認めない決定を下したため投票は実施されず、ビター党首の首相就任は再び持ち越されたのだった。





さらに選挙管理委員会が禁止されているメディア関連の株をビター党首が保有していることを理由に総選挙への立候補資格に疑問を示していたことに関し、19日に憲法裁判所がこれを受理したためビター党首の議員資格が一時的に停止される決定が下された。このためビター党首は下院議場からの退出を余儀なくされる事態にまでなった。





★ 次回は27日に首相選出実施





こうした事態を受けてタイ国会は7月27日に次の首相選出を実施する方針を示しているが、ビター党首の首相就任は事実上困難な状況になったことを受けて前進党は他の候補者を擁立する道を模索している。





さらに総選挙で第二党になった野党「タイ貢献党」から候補者が立候補する可能性も浮上、連立を組む野党8党の間で調整が進んでいるという。





前進党は先の総選挙で王室改革を公約の一つに掲げて都市部の若者、学生、民主化運動活動家などの支持を広く獲得して第一党に躍進した経緯がある。





王室改革には最高刑で禁固15年の不敬罪の改正などが含まれ、これが国民の王室への不満を反映する形となって支持が拡大したとみられている。





野党8党で組む連合には王室改革に関して温度差が存在し、最も急進的なのが前進党で第二党になった「タイ貢献党」などは王室改革にはそれほど積極的ではないとされる。





★ ビター党首反対の背景に親軍、保守派





こうしたことを背景にビター党首の首相選出を阻止したのは特に指名議員からなる上院(250議席)という。選挙で選出される下院議員の他に政権が指名した上院議員が存在し、プラユット首相とは当然のことながら近い存在だ。





2014年にクーデターで当時のインラック前首相から政権を奪ったプラユット首相は軍人出身で、就任以来政権維持は軍の力を背景にしたある意味での「強権政治」で民主化を求める学生や運動家のデモや集会を力で弾圧してきた。





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