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「中台戦争2027」(中)ロシア・ウクライナ戦争の影で その2

Japan In-depth / 2023年7月26日 12時15分

ならば「戦争に備えよ」と訓示したり、領空侵犯などの軍事的挑発はどういうことか、との声が聞こえてきそうだが、それは半世紀以上も延々と繰り返されていることであって、蔡英文総統が徴兵期間の延長を発表したというのも、もともと1980年代までは2~3年であったものが、段階的に短縮されてきたという事実を知るべきだろう。





さらに言えば、台湾の政治・民族状況はなかなか複雑で、一筋縄で行くものではない。





大半の読者は、台湾の正式な国号は中華民国で、かつては「中国」と言えば中華民国の略称とされていたこと、しかしながら第二次世界大戦終結後、毛沢東らが率いる中国共産党との間で内戦が勃発し、勝利した共産党が中華人民共和国を建国(1949年10月1日)、敗れた蒋介石らの国民党は、台湾に逃れて中華民国の衣鉢を継いだ、という歴史的経緯についてはご存じだろう。





この結果、かの地においては、主として国民党と共に渡ってきた人たちを「外省人」と呼び、それ以前からの住民を「本省人」と呼ぶようになった。





これは本来の言葉の意味とは違うそうで、台湾に限らず、中国語圏では代々その土地に住み着いていた人たちを本省人、よそから移住してきた人たちを外省人と呼ぶ。これは知り合いの中国人から教わった。





他に「台湾原住民(族)」と称される人たちもいる。日本統治時代には「高砂族」と称されていたが(学者は7民族に分類していた)、実際には16民族が認定されているそうだ。





漢民族が台湾に移住し始めたのは17世紀以降の話で、それ以前から暮らしていた人たちが、こう呼ばれる。





日本では原住民という呼び方は「原始人」という蔑称を連想させるとして、マスメディアではもっぱら「先住民」と表記されるが、台湾華語(北京官話と客家語の混成らしい)では先住民と書くと「すでになくなった民族」の意味になるため、御法度なのだとか。





民族的にはポリネシア系で、アジア人にしては長身で身体能力の高い人が多い。あの王貞治氏を筆頭に、台湾にルーツを持つプロ野球選手は、多くがこの台湾原住民の末裔だと聞く。





話を戻して、蒋介石らの国民政府が台湾に移ってからしばらくの間は、いずれ北京の共産党政権を駆逐するという「大陸反攻」が国是とされていて、対話路線や平和共存を主張するような人は容赦なく投獄されるという状況だった。





しかしながら過去半世紀、冷戦構造が確立し、やがて消滅するという歴史の中で、国民党は「平和統一」へと舵を切った。これに対して、蔡英文総統率いる民主進歩党は「台湾独立」をとなえている。





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