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日本、NATO・EUと関係強化

Japan In-depth / 2023年7月27日 18時0分

日本、NATO・EUと関係強化




村上直久(時事総研客員研究員、学術博士/東京外国語大学)





「村上直久のEUフォーカス」





【まとめ】





・日本とNATO、今後4年間の「パートナーシップ・プログラム」で合意。





・東京におけるNATO連絡事務所の開設は、合意に至らず。





・EU側、水産物など日本産食料品に対する残存輸入規制の撤廃を発表。





 





ロシアのウクライナへの軍事侵攻と中国の強引な海洋進出や台湾への威嚇が続く中で、日本は欧米の軍事機構である北大西洋条約機構(NATO)との関係を一層強化している。





岸田文雄首相は7月中旬にリトアニアの首都ビリニュスで開かれたNATO首脳会議に「パートナー国」の首脳として参加。日本はNATOと今後4年間の新たな「パートナーシップ・プログラム」で合意。従来の海洋安全保障に加えて、サイバー防衛や宇宙安全保障、偽情報対策、人工知能(AI)などを新たな協力対象にすることにした。





ただ、インド太平洋地域では初めてとなる東京におけるNATO連絡事務所の開設では、中国の懸念に配慮したとみられフランスの反対で合意に至らなかった。岸田首相はビリニュスからブリュッセルに移動し、欧州連合【EU】との首脳会談に臨み、サイバー攻撃対策やエネルギー、偽情報対策などの分野で協力を深化することで意見が一致した。





■ 東京事務所には中国も反発





NATO関係者は、東京事事務所構想について、まずスタッフ数人の小規模な態勢が検討されており、パートナーシップ・プログラムの推進が目的であり、軍事基地ではないと強調した。





ストルテンベルグNATO事務総長は首脳会議後の記者会見で、東京事務所問題は「依然として協議対象である」と指摘、継続審議となったことをうかがわせた。日本政府は既にブリュッセルにNATO代表部(事実上の大使館)を設置してNATO本部との連携、情報収集などに当たらせている。





フランスがNATOの東京事務所に反対するのは、NATOの創設条約に明記されているように、NATOのカバーする領域は北大西洋地域に限定されているからだ。





ただ、フランスのマクロン大統領は「NATOがインド太平洋地域や中東、北アフリカにおいて安全保障問題に対応するためにパートナーを持つことには反対しない」と言明。日韓豪ニュージーランドのインド太平洋地域4カ国とNATOが連携することには反対しないとのスタンスを明らかにした。





そうした中で、中国は既に日本にNATO事務所ができることはアジア太平洋地域では歓迎されない、と反発している。フランスの立場は経済的結び付きが強い中国の懸念も考慮しているようだ。





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