「馬場独演会」から読み取る維新のホンネと思惑

樫山幸夫（ジャーナリスト、元産経新聞論説委員長）

 【まとめ】

・馬場伸幸「日本維新の会」代表のネットニュースでの発言が物議を醸している。

・巨大与党の自民党を「ライバル」、立憲民主党を「目立つのが目的」とこき下ろし、返す刀で「共産党はなくなっていい」と言いたい放題。

・一連の選挙での躍進からくる自信の表れだろうが、発言を子細に吟味すれば、この政党のホンネ、何を狙っているのかが伝わってくる。

　

■「第1自民、第2自民でいい」

馬場氏が出演した7月23日のABEMA的ニュースショーは、さながら氏の独演会だった。

ご覧になった読者もおられようが、面白いので長くなるのを承知でサワリを再録する。

　　ー自民党をどう思うか

　馬場氏　「横綱ですね。大横綱です。維新はいま十両、まともに行ったら勝てない」

　ー敵か

　馬場氏　「ライバルです」

　ー（維新は）第2自民党ではないかという指摘があるが

　馬場氏　「第1自民党、第2自民党でいいんですよね。第1、第2自民党が改革合戦をどんどんやって国家国民のためになることを競い合う、政治をよくしていくことにつながるわけで。立憲民主党さんいらっしゃっても、日本何もよくならない」

　ー公明党との関係は

 馬場氏　「大阪都構想は維新にとって悲願だから公明党さんにいろいろ協力いただかないとできない。過去4回の衆院選で、うちが候補をたてなかったが、大阪都構想は、いまちょっと凍結しているので、公明党さんに何かお願いすることはない。（次の総選挙では）関西6つの選挙区すべてに候補を立てる」

■「立民で日本よくならない」「共産はなくてもいい」

　　ー共産党をどう思うか

　　馬場氏　「日本からなくなってええ政党ですね。おっしゃってることがこの世の中ではありえない。空想の世界をまじめに考えているなと」「地方議員さんが〝こんな道路作ったらだめでしょう、税金の無駄づかいや〟といって、開通式には、いの一番に出る」

　ー立憲民主党はどうか

　馬場氏　「簡単に言えば、ただ（有権者に）目立てばいい。強行採決で、委員長席にワーッと行って、マイク取るわ、紙破るわ、人垣の上からダイブするわ・・。体張って戦う野党やいうことをみせている。国民からすればどうでもいい」　

■「政治家の信念で発言」、抗議にも謝罪拒否　

まだまだ興味をそそられる発言があるのだが、大きなところはこれにつきる。

批判された方は、「党名を第2自民党に変えていただくとわかりやすい。まったくやる気がない。自民党をサポートするということなら、（選挙）で協力のしようがない」（立憲民主、泉健太代表）、「他党の政策を批判する権利はあるが、存在そのものを否定するのは民主主義の否定だ」（小池晃書記局長）などと憤懣を隠さない。