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中国主導のインドネシア高速鉄道 独立記念日にソフト開業

Japan In-depth / 2023年8月1日 11時0分

中国主導のインドネシア高速鉄道 独立記念日にソフト開業


大塚智彦(フリージャーナリスト)


「大塚智彦の東南アジア万華鏡」





【まとめ】


・中国支援のインドネシア高速鉄道、8月17日にソフト開業予定。


・ジョコ大統領、習近平主席の始発列車試乗を打診中。


・今後さらに中国のインドネシアへの影響力が増すことが予想される。


 


 中国の全面的支援で進んでいたインドネシアの首都ジャカルタから西ジャワ州州都バンドン(143.2キロ)を結ぶ高速鉄道建設が最終段階となり、独立記念日の8月17日にソフト開業する見通しとなった。


 開業初日の1番列車にはジョコ・ウィドド大統領らインドネシア政府要人、政財界関係者、国会議員、駐インドネシア中国大使などが招待されて試乗する予定だが、ジョコ・ウィドド大統領は水面下で中国政府に接触し、習近平主席国家の同乗に向けた交渉を行っているとされる。


 この高速鉄道は計画、入札の段階で安全面を前面に出した日本の企業体による応札に対抗して短期の建設期間と費用の安さ、特にインドネシア政府に国庫負担を求めないとする中国との競争となったが、インドネシア政府による不可思議な決定を経て中国が全面的に請け負うことになったという経緯がある。


 しかし実際に建設が始まると用地買収の遅れやコロナ渦による建設工事の大幅な遅れに伴う費用増加などの問題に直面することになり、最終的には当初の約束が守られずインドネシア政府の国庫支出が余儀なくされた。


 何度とない完工時期の延期や事故を経て2023年6月22日には最高速度356キロでの走行試験に成功した、として安全性が裏付けられたと強調していた。


 鉄道関係者によると通常は完工後に各種の走行試験、運行試験、信号試験など試験を数カ月から1年かけて実施して安全性を確実にするものというが、8月17日の独立記念日に合わせるため、急ピッチの試験で招待客を試乗させて走行するソフト開業に漕ぎつけようとしている。


 運賃を支払った乗客を乗せて走る本格的な営業開始は10月頃を予定しているという。


 


★残る安全性への不安


 高速鉄道を強力に推進してきたジョコ・ウィドド大統領は2004年の大統領選には憲法の3選禁止規定から出馬することができないことから、今年の独立記念日が最後の晴れ舞台となり、そこに多少の無理があってもなんとかして開業を間に合わせたいとの思いがあったという。


 ただ高架に設計ミスが生じたり、軌道検査車両の事故で死傷者がでたりするなど予期せぬ事態が相次ぎ、営業最高時速350キロでジャカルタ~バンドン間を現在の約3時間から約40分に短縮する国家的プロジェクトへの国民の期待と同時に安全性に対する一抹の不安が付きまとっていることも事実だ。


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