中国主導のインドネシア高速鉄道 独立記念日にソフト開業
Japan In-depth / 2023年8月1日 11時0分
ジョコ・ウィドド大統領は任期中にこの高速鉄道計画に加えて首都移転というメガプロジェクトも打ち出し、カリマンタン島東部の移転予定地では実際にインフラ整備も始まっている。
だが首都移転が独立から100年の2045年完工を予定していることからジョコ・ウィドド大統領にとっては退任後相当先になり、在任中の大きな業績としてはこの高速鉄道が最後となることから盛大なイベントとして準備を進めている。
★習近平主席国家の試乗は実現困難か
そうしたジョコ・ウィドド大統領の意向を受けてインドネシア政府は水面下で中国政府に習近平国家主席が開業初日の記念すべき始発列車に大統領らと一緒に試乗することを打診しているという。
ジョコ・ウィドド大統領は2022年11月にバリ島で開催したG20会議に出席した習近平主席国家をジャカルタに招き、共に一部走行区間での高速鉄道試乗を提案した経緯がある。この時は日程の都合などで実現せず、バリ島からのオンラインでの視察に終わった。
それだけにジョコ・ウィドド大統領としては晴れの舞台にイ中の首脳が並んで試乗することが念願だった。
もっとも関係者によると8月17日の開業に習近平主席国家が同乗する可能性は極めて低く、今回も実現しないとの見方が有力だ。
一部では中国政府が高速鉄道による高速運転の安全性に全幅の信頼を置いていないことが背景にあるのではとの憶測もでている。
★日本への当てつけも
6月22日の最高速度試験運転の成功を受けて同列車にも同乗したルフット・パンジャイタン調整相は「中古車両の輸入禁止」の方針を明らかにした。
これはインドネシアの各種鉄道路線を走る日本製の中古車両を主ターゲットにした方針で、一応今後は国産の車両製造業を優先するという名目で外国製中古車両を対象にしたこので「国内産業の保護」というジョコ・ウィドド政権の姿勢を反映したものとなっていることは事実だ。
安全性より価格面を重視した結果、インドネシア政府が選択した中国による高速鉄道計画は習近平主席国家が進める「一帯一路」構想の一環で、今後さらに中国のインドネシアへの影響力が増すことが予想され、日本として今後どう対処していくのかが問われることになりそうだ。
トップ写真:G20サミット歓迎式典でジョコ・ウィドド大統領の歓迎を受ける習近平国家主席(2022年11月15日 インドネシア・ヌサドゥア) 出典:Photo by Leon Neal/Getty Images
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