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緩和策と適応策~地球温暖化、人口減少、財政赤字に共通な2つのアプローチ~

Japan In-depth / 2023年8月1日 10時45分

収入に比べて借金の額を増やし続ける主体に対し、金融市場はどこかで資金を融通しなくなる。日本政府は、現在の制度を前提にした将来の税収との対比で、借金の残高をどんどん増やしてきた。ここまでのところ、それでも大丈夫だと金融市場は評価している。しかし、だからこれからもずっと大丈夫ということにはならない。さらにどんどん借金の残高を増やしていけば、どこかで金融市場は愛想をつかす。そんな野放図なことは考えていないという姿勢を、政府は常に金融市場にみせていなければならない。これが信認の話だ。





それでも、やはり危ないのではないかと金融市場が思い始めると、本来、まず起こるのは国債という金融商品の価格の下落だ。ここでは説明は端折るが、国債の価格下落とは、国債金利の上昇と同じことだ。何らかの理由で金利が上がれば、以前の低い金利の国債は人気がなくなるので、価格が下がると考えれば良い。したがって、金融市場の信認を確認する上では、国債金利が金融市場の判断を映して動くようにしておかなくてはいけない。





もうひとつ、国債金利が上がるケースがある。それはインフレ圧力が強くなった時だ。最近、海外主要国の長期金利が上昇したが、これはインフレ率が高くなったことが出発点にある。インフレ率が高くなっても金利が低いままでは、利息の実質購買力が下がってしまう。そうすると、そういう低い金利のままの国債の人気が低下し、上述の理屈で価格が低下し、金利が上がるのである。





最近の日本で起こっているのも、このインフレ圧力の高まりによる国債金利の上昇だ。それを無理矢理、日本銀行が抑えようとすると、そうした国債の買い手は日本銀行しかいなくなる。これが国債市場の機能低下と言われている現象だ。日本の財政赤字は当分なくならない。そうした状況で円滑に国債を発行し続けるためには、国債市場がちゃんと機能しないといけない。日本銀行だけが買い手になったのでは、必要な国債の発行には不十分だ。





財政赤字に対する適応策としては、国債市場に自由な価格形成が行われること、即ち長期金利が金融市場の判断を反映して形成される状態にしておくことが非常に重要になる。





トップ写真:日銀(2023年7月27日東京都・中央区)出典:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images




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