中国上半期の経済統計を読む
Japan In-depth / 2023年8月2日 11時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・中国国家統計局、「今年上半期国民経済は回復傾向にある」と主張。
・米の計算方法によると、中国の今年第2四半期GDPは第1四半期と比べ0.3%減少したことになる。
・累積赤字が更に増大し財政破綻危機を迎えるかもしれない。
今年(2023年)7月17日、中国国家統計局は、同国経済の主要数字を発表(a)した。当局は「今年上半期国民経済は回復傾向にある」と主張しているが、実際はどうだろうか。
本稿では、まず、第1に、中国のGDPの計算方法について考えてみたい。
周知の如く、中国の場合、経済成長は大部分国家に依存しており、米国の経済成長は大部分民間に依存(b)している。
2021年、米国の消費はGDPの82.6%を占める。内需は米国経済の核心である。一方、2021年、GDPに占める中国の消費の割合は54.3%(政府15.9%+国民38.4%)だった。
これは、OECD加盟国平均の77.3%(政府18.3%+国民59%)を大きく下回り、世界平均の72.0%(政府17.1%+国民54.9%)よりも下回る。
中国国家統計局は、今年第2四半期のGDPは第1四半期と比べ0.8%増加したと強調している。
米国の計算方法(物価変動要因がないとする)によると、中国の第2四半期のGDP比は次のように変わるだろう。若干、煩雑だが、その計算方法を説明したい。
実は、今年第2四半期は91日だったが、第1四半期は90日である。前者は第後者と比べ、91/90倍=101.11%と1.11%多かった。
米式計算式の場合、(1+増減した四半期GDPの%)÷(1+{[同四半期日数÷前四半期日数]-1}) -1が「“真”の増減した四半期GDP」となる。これを、中国に当てはめてみると以下のようになるだろう。
(1+0.8%)÷(1+{[91÷90]-1})-1
= (1+0.008)÷(1+0.0111)-1
=(1.008÷1.0111) -1=-0.3%
つまり、米国の計算方法に従えば、中国の今年第2四半期のGDPは第1四半期と比べ0.3%減少したことになる。中国当局の主張とは異なる結果となった。
第2に、近年の中国GDPの「図表1」を作成してみたい。
その前提として、中国共産党が数字に一切手を加えず、正確なモノを公表していると仮定する。
普通、先進国の投資は「民間投資」に限られる。ところが、中国の統計は、先進国とは違って、投資の中に政府による投資も入る。本稿では、GDPは季節変動要因を捨象し、速報値で計算する。
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