中国上半期の経済統計を読む
Japan In-depth / 2023年8月2日 11時0分
更に、ここでは、今年(2023年)の上半期と下半期の伸長が全く同じだと仮定しよう。そこで、今年上半期の各数字を2倍にして、今年全体を予測した。
この図表から得られる特徴は、以下の通りである。
まず、今年のGDPは昨年よりも縮小する公算が大きい。たとえ、同じ程度の数字だとしても、事実上、GDPは縮小したと考えられよう。
今年全年で、中国経済の主力である投資が減少する可能性が高い。これは、(1)投資の柱の一つである不動産開発投資が振るわない、(2)民間企業の投資が伸び悩んでいる、(3)外資が中国から逃避している等の理由からではないか。
ここで、不動産開発投資の「図表2」を見てみよう。実際、1年以上、マイナス成長を続けている。特に、今年第2四半期、4月は前年同月比で—16.2%、5月は-38.7%、6月は—20.6%と最悪の状態と言っても決して過言ではない。
その代表例を挙げるとすれば、中国恒大だろう。同社は巨額の債務(d)を負っている。ただ、「中国恒大は、香港の裁判所側から債務再編計画の採決の承認を得ている」(e)という。
次に、近年、消費が横ばいである。中国経済全体が不振なので、消費が伸びないので、当然かもしれない。
そして、今年の貿易黒字も前年と同じ、あるいは、もしかしたら、前年よりも小さくなる恐れがある。
更に、政府支出だが、中国当局は、明確な数字を公表していない。そこで、ここでは、GDP-(投資+消費+貿易黒字)で、「理論上の政府支出」を算出した。この数字を見ると、この「理論上の政府支出」が年々、増加している。
ちなみに、既述の通り、中国の場合、消費の中にも政府支出が入る。投資も政府が半分近く投資している。
今年上半期で、投資は24兆3113億元(c)だった。そのうち、民間投資は12兆8570億元である。したがって、政府投資は、11兆4543億元(全体の47.1%)となる。
そうでなくとも、中国財政累積赤字は、GDPのおよそ300%以上と言われる。更に、累積赤字が増大し、財政破綻危機を迎えるかもしれない。
〔注〕
(a)『国家統計局』
「上半期国民経済は回復傾向」
(2023年7月17日付)
(http://www.stats.gov.cn/sj/zxfb/202307/t20230715_1941271.html)。
(b)『中国瞭望』
「中国の上半期経済報告発表、米国人はどう計算するか?」
(2023年7月17日付)
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