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米中対立はなぜ「文明の衝突」なのか

Japan In-depth / 2023年8月3日 11時0分

 「中国の共産党政権は個人の創意や批判を抑え、服従を強いる。この中国型モデルはいまの政治や政策を越え、中国年来の歴史そのものに由来する。国家や人間のあり方のこの種の挑戦は文明の衝突以外のなにものでもない」


 ルビオ議員は以来、議会などでの対中政策論議ではこの「文明の衝突」論を表現を微妙に変えながらも繰り返してきた。だがその見解が中国研究の大御所とされるマイケル・ピルズベリー氏によって支持されたことはさらに注目に値する。同氏は中国の軍事戦略にとくに詳しく、アメリカ歴代政権の対外戦略、対中戦略の要衝の地位に就いてきた。中国に関する彼の発言はいつも独特の重みを持ってきたのだ。


 ピルズベリー氏はヘリテージ財団のこの集いで報告し、ルビオ議員の「文明の衝突」論に同意する、と述べたのだった。その際の発言の真意や背景を探るために、私はその後、ピルズベリー氏に直接にインタビューして問いかけた。それに対する同氏の回答の骨子は以下のようだった。すべて米中両国間の文明の衝突という見解についてである。


「アメリカのソ連との対立はイデオロギーが主因だったが、中国との対立は文明の相違が大きいと私(ピルズベリー氏)は考え始めている。中国はソ連と同様、マルクス・レーニン主義、つまり共産主義の国家だから民主主義や人権も認めず、アメリカとは衝突する、という認識がイデオロギー対立ということだが、それ以上の要因も含まれる」


「中国とアメリカとでは文明が異なる、つまり民族、社会、歴史、文化、伝統などを総合した文明が異なることが対立の主因なのだとする考察がある。おそらくまだ少数派だろう。だが私はその考察の方に傾いている。中国側でも習近平主席らが『中国は西側とは異なる例外的な文明を有しているのだ』とよく述べている。世界観、歴史観、文化観などの違いを指すのだろう」


「ソ連とではアメリカはイデオロギーは違っても、同じ西洋文明や歴史認識の範囲内にあった。しかし中国はその範囲の外にある、という見解だといえる。ただしこの考察には人種という要素がからむので、微妙な側面があるため細かな神経の配慮を要することにもなる」


ピルズベリー氏といえば、日本でもその筋ではよく知られている。彼の著書『China 2049』が日本でも2015年に出版されて大きな話題を呼んだのだ。


その趣旨は中国共産党は長年、政権の完全奪取の1949年から100年後の2049年にはアメリカを凌駕する世界一の超大国になることを現実の国家目標として野心的な動きを重ねてきたのだ、という解明だった。


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