1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

党幹部と都市部・農村部の年金の差

Japan In-depth / 2023年8月4日 11時0分

党幹部と都市部・農村部の年金の差




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・中国、引退した党最高幹部の待遇、1人当たり年平均約20億円。





・政府機関の退職者は年金が高く、月平均支出は6~8000元(約12 ~16万円)。





・農村住民の年金は全国平均で月額163元(約3200円)。これで暮らしていけるのか。





 





本稿では、党幹部の年金及び都市部と農村部の一般高齢者の年金について紹介したい。





まず、第1に、党幹部の年金である。





米国在住の中国政治研究者、陳破空によれば、党中央委員以上(5年毎に、およそ200人就任<再任もある>)の退職高級幹部の年間公費支出は1000億元(約2兆円)にのぼる(a)という。





中でも、江沢民、李鵬ら(両人はすでに死亡)11人を含む引退した最高幹部が享受する特権的待遇は、年間10億元(約200億円)、1人当たり平均1億元(約20億円)近い公費が使用されているという。





江沢民らが享受(した)している特権的待遇には、特別機、特別列車、高級車等の使用、緊急の場合、専門医療チームの編成・看護などが含まれる。





他の省部長クラスの退職幹部でも、1人当たりの平均年間支出は500万元(約1億円)に達する。





もし、党幹部が人民の側に立つと、共産党によって「党の利益を危うくする」と糾弾され、該当レベルの特権が即座に剥奪される。例えば、趙紫陽元総書記は、学生達に共感したことから「党を分裂させた」と決めつけられ、特権を剥奪されて小さな屋敷に軟禁された。





第2に、都市部の年金である。





都市部で定年退職した高齢者の生活は、その経済状況によって大きく異なる(b)。平均的な退職者の毎月の支出は約2~3000元(約4~6万円)で、主に食費や薬代などに使われる。





政府機関の退職者は年金が高く、月平均支出は6~8000元(約12 ~16万円)で、比較的豊かな経済状況にあるので、消費の選択肢が多い。





高齢者の中には、基本的な生活ニーズを満たす(月に約2~3000元の出費)だけで満足する人もいる。他方、旅行やパーティー、シニアの様々な活動など、高額な出費を好む高齢者もおり、その場合、月に5~6000元(約10万~12万円)は支出しなければならない。





さて、「中国フレキシブル雇用市場調査報告書2022」によると、上海のフレキシブルワーク(時間や場所を柔軟に選べる働き方)雇用は、国内でその数300万人を超える(c)。





これらフリーランサー(個人で仕事を請け負う人)のおよそ2割近くが2万4000元~6万元(約48万円~約120万円)の収入を得ている。だが、そのほとんどがスタート段階では不安定な収入しかなく、一般的な職場での平均賃金を下回っている。すなわち、半数近く(47.5%)が月平均8000元(約16万円)以下の収入しか得ていない。





この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください