人的資本経営とキシダノミクス 【日本経済をターンアラウンドする!】その10
Japan In-depth / 2023年8月5日 21時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・世界競争力ランキングで日本は過去最低の世界35位。
・「人的資本経営」に向け進むキシダノミクスは大いに期待できる。
・そのシナリオは、ジョブ型による人事改革、労働者の創造性や可能性の解放へ。
IMD(International Institute for Management Development)、国際経営開発研究所の「世界競争力ランキング」、最近発表された結果、日本は過去最低の世界35位であった。
この連載でも何度も言っているが、競争力の問題、モチベーション、やる気・・・・。労働の各指標における数値が日本はとても低い。「失われた30年」、世界的に競争力が低下し、企業も世界市場でのプレゼンスを失い、1人当たりGDPや平均賃金が伸びず、新たなイノベーションも起こらず、企業の新陳代謝は進まず大企業は変わらないメンバーのまま・・・・。補助金と株高で大企業は優遇され、派遣業が新しい規制産業として出現したくらいしか変化はなかった。
この状況をどう変えていくか。キシダノミクスは、「日本経済のリベンジ」として大いに期待できるのである。皆さん知らないだろうが、2023年1月に改正された内閣府令は、上場企業に人的資本の移管する戦略や指標、目標を有価証券報告書に開示・記載することを義務化するなど、「人的資本経営」に向けて進んでいる。骨太の方針にもそれが明確になっているのだ。
・個々の企業の実態に応じた職務給(ジョブ型人事)の導入
・成長分野への労働移動の円滑化、労働市場改革
・リ・スキリングによる能力向上支援
・人への投資施策パッケージ
という点が特徴である。
■日本企業の敗戦の理由
追いつけ追い越せの高度経済成長が止まった時に新たな展望が見られず、デジタル産業の進展を著作権法で規制してしまうなど、その後の低賃金、低成長のサイクルにはまってしまった30年。製造業が人件費の安い東南アジアに工場移転をしたこと、中国のような新興市場に技術がキャッチアップされたりということは置いておいて、日本企業、特に大企業の電気・半導体メーカーが競争に敗れた原因は大きく3つあると言われている。
①人事制度(成果主義の人事評価機能せず、意思決定の遅さなども)
②商品のマーケティング不足(特にメーカーは技術尊重、売れるものを作らなかった)
③行政の経済政策関与(半導体でいう国家プロジェクトなど)
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